20181017_JOINS猪尾さん

週1からでも、力を発揮できる場所がある。「地方で副業」という働き方の魅力

本記事は、JOINS猪尾さん(@YoshitakaInoo)のamiライブ配信の書き起こしです。

JOINS株式会社 代表取締役 猪尾 愛隆さん

amiファシリテーター森(以下、森)
猪尾さん、よろしくお願いします。

前回、地方の中小企業と大都市で人材のシェアリングをするJOINSは、猪尾さんの原体験である、恐怖感にさいなまれて居場所をつくりたいっていうところで始められたとのことでした。

そこはめちゃくちゃ伝わったんですが、「なんで地方の中小なのか」っていうところをもうちょっと掘り下げたいなと思っています。

猪尾さん(以下、猪尾)
分かりました。大きく、自分の原体験的な話と、あとマクロ的に見ても重要だなと思うこと、2つあるんです。

1個は僕、前の会社のときに、日本中の酒蔵さんと仕事してたんですよ、日本酒の。結構、全国50蔵ぐらい行ってて。


そんなに!

猪尾
はい。いろいろ。クラウドファンディングの仕事だったんで、酒蔵さんの資金調達のお手伝いしてたんですね。

そのときに、みんなそれぞれ、もう200年とか300年続いてる会社なんですよ。だから、クラウドファンディングなので、決算書とかもらうんですけど、普通に決算書が第百何十期みたいな。


すごい!

猪尾
でも売り上げは普通に1~2億ぐらいで、社員は20~30人なんですど、そういう会社がいっぱいある。


細く長く。

地域の文化を支える中小企業

猪尾
そうそう。その中でも今でも言われてすごく心に残ってるひと言があって。「酒蔵がつぶれるっていうことはその地域の食文化が1個失われることなんだよな」って、酒蔵さんが言うんですよ。それ、すげえなと思って。

その前までは、前職で広告代理店の博報堂って会社にいたんです。それこそ売り上げ何百億円、何千億円の大企業の仕事をしていました。

それまでは広告で、ミネラルウォーター何百万本売りたいみたいな、そういう仕事をしてたんですけど、酒蔵さんと出会って、仕事って、継承してきた文化を次につなぐ意味もあるという価値観に出会いました。

彼らのマインドは、300年続いてるんであと300年少なくとも続かせないといけないっていうミッションでやってるんですよね。

その手段に数字としての利益だったり売り上げがあるんですけど、つなぐっていうことをすごい思いを持ってやられていて。こういう仕事の仕方の価値観ってカッコいいなってめっちゃ思ったんですよね。

そして、実はそれは酒蔵だけじゃなくて、味噌も醤油もそうですし、農業、林業とか、地域にある自然とか文化とか技術とか、そういうものを事業を通じて守ってる人たちってたくさんいて。

こういう仕事って単純に売り上げが何兆円とかそういうんじゃない軸でカッコいいなって、まず思ったのが、1つです。

もう1つは、マクロ的な話でもあるんですけど、そういう仕事ってあんまり儲からないとか、経済的なインパクトは少ないって思われがちなんです。

でもいろいろ調べてみると、例えば、日本全体のGDPは約530兆円程度(平成26年度県民経済計算(内閣府))くらいですが、実は東京とか大阪とか名古屋とか、いわゆる首都圏とか大都市を除いた、いわゆるローカル経済のGDPは約314兆円もあり、日本全体の6割ぐらいを占めてるんですよね。

大企業が日本のほとんどを占めてるように思われがちなんですけど。そして、会社の数でいうと、99.7%は中小企業なんです。

だから日本の、文化的、経済的にも地方の1つ1つのそういう会社さんが頑張ることっていうのが、すごく大事だなって思っています。

でも一方で、メディアでも取り上げられているように、ほんとに中小企業の後継者が足りてない。人材が足りてないんですよ。

だから今、休廃業・解散してしまう企業のうち、半分は黒字の状態なんですよね。人手がいなくて会社としてはたたむということが、本当もったいないなあと思って。

こんなに素敵な場所で、こんなに歴史も文化も自然も技術もあっていいものつくってるのに、人がいないがばっかりに、そういうものが失われていく。

さっき言ったように、文化的にもそうですし、経済的にも今、危機的な状況だなあとすごく思ったんです。

ですから、なんとか地方のそういう企業さんをお手伝いすることっていうのは、日本にとって本当に大事なことなんじゃないかなって思ってましたし、僕自身もそういう仕事がカッコいいなって思ってるので、何とかそこの問題を解決したいなっていうのが1つの創業の動機です。


そういった課題意識を感じて、地方の中小企業を盛り上げたいって思いがあると思うんですけども。

そこにどうして大企業、大都市の人材が入ることによって、何が変わるのかっていうのがちょっと見えにくいなと思っているのですが。

必要なものはお金ではなく、人

猪尾
分かりました。前職のときはお金、足りないのはまずお金だと思って。お金さえあれば人雇えるじゃないですか。

だからお金だと思って12年クラウドファンディングの事業をやってたんです。

でも途中から、いや、そもそも人がいないんで、お金が調達できないんですよねということに気づきました。投資を受けるには事業計画だったりチームができてないと投資受けれないんで。

順番でいうと、前は「お金→人」だと思ってたんですけど、現在は逆だと思って。「人→お金」だと。人がいないと、そういう資金も調達できない。

ではどういう人が不足しているのか?

今、日本ってどんどん人口も減ってて、労働人口も減ってるんですけど、まずそれって地方からすごい顕在化してるんで、とにかく現場の人手が全然いないんですよ。

例えば、今、僕もJOINSと並行して兼業で白馬のスキー場の会社手伝ってるんですけど、アルバイトの人も含めてスキー場って人手がいっぱいいるんですけど、そういう人はもう全然集まんないですね。

まずは現場の人材が不足しています。

ただ、JOINSとして解決したいと思っているのはその人材不足ではありません。

現場の人材不足の解消は労働人口不足の中で構造的な問題だと思っていまして、そこはもう前提として考えたとすると、少ない人数でも事業を回していけるようにするとか、生産性上げてくようにするとか、事業の仕組みを作っていける人材が必要なんです。

でもそれは地方には少ないんですよ。

それが得意なのは、大企業の生産性を上げるためにずっとPDCAを繰り返ししてきて、組織化とか業務マニュアルつくってるとか、そういうことやってる人材で。それは結構、大企業にいらっしゃるなと。

ただその人たちをフルタイムで転職してもらうと、現状はなかなか給料が合わないんで一部の企業でしか雇えないんですよね。

だとすると解決策として、週1働いてもらって10-20万円払うというのはどうだろうかと。10-20万円なら払えるんですよ。でも、週5来てもらって、100万円払えるかっていうとなかなか払えないんですよね。

そういう隙間の時間をマッチングするっていうことが解決策なんじゃないかというのがJOINSの現在の解決へのアプローチです。


ウチダさんからのコメントで、「地方、北海道や東北で、人材紹介会社を営業している友人もすごく多種多様なたくさんの募集があると言っています。ただ既存の仕組みではなかなか集まりづらい」と。

猪尾
地方の中の、その地域内で集めるのは難しいと思っています。かつ、フルタイムで集めるのもなかなか難しいんです。現場はまだ生産性が高くないので給料がなかなか合いずらいからです。


なるほど。ほかにもサエコさんから。「地方出身なので、こういった思いを持った行動をしてくれることがありがたいなあ」と。

猪尾
うれしいです。


まさにこれ、ありますよね。人がいない理由って、東京に働きにきちゃってるっていうのも原因ですよね。

猪尾
そうなんですよ。でも意外と、パートタイムだったらとか、副業だったら、地方の会社を手伝いたいという人はたくさんいると思っています。僕も今、週1で白馬に行ってるんですけど、Facebookとかアップするとすげえみんなからうらやましがられるんですよ。

ある種、普通だったら旅行に行くような場所なんですよね。リゾート地なんで。そこに働きに行ってるのはすごい楽しいし、役に立てるし。仕事が終わった瞬間に、リゾートでのバカンスに変わるのは最高です。

さらに、10万円とか20万円とかお金もらえるんで、結構、双方win winだなと思っています。

僕も別に毎週行ってるわけじゃなくて、現地に行くのはだいたい月1~2回ぐらいです。

あとはリモートワークでやっています。それこそ、Slackとか入れてもらって。最初は、「何ですか?これ。」みたいな感じなんですけど、やり出すとみんなもう、すぐ慣れるんで、普通にもう、SlackもZoomもガンガン使って頂いています。

そうなってくると意外と普通に電車の中でも仕事できる。寝る前に、横になりながらSlackでやりとりとかもできちゃう。そういう感じでちょっとした隙間時間で仕事ができるようになっていくと、月30時間くらい使えればそれなりのことができると思っています。


そうすると、「距離があるとどんだけ通わなきゃいけないの?疲れちゃう」っていうハードルは意外とないっていうことですね。

猪尾
ないです。そこは、もちろん最初はある程度はface to faceでやり取りすることは大事なんですけど、その辺のコツなんかはJOINSとしてもサポートさせていただいています。それができるようになってくと、普通にリモートでできることが増えていくと思っています。


ちなみに、地方出身者がわりと東京は多いんですけど。もう1つのハードルだなって個人的に思っているのが、日本でよく言われてる、企業特殊スキル、固有スキルがすごく身についてしまうという問題。

そういう自分が本当にそんな週1で力を発揮できるのかっていうのは心配。

猪尾
そこがもう1個のポイントで、それがたぶん、大企業とか大都市の中での副業だとそういう悩みだと思うんですよね。

そこで大都市と地方のマッチングの何がいいかっていうと、地方は本当に人材が不足しているので、やらないこといけないことは分かっていてあとはやるだけなのに、それがなかなかできていないということが多いんですよ。

例えば、人事部がない企業が多いんです。総務とか管理部が兼任しているところが多かったりします。だから、以前作った人事評価・報酬制度が課題が多くなってきて変えたいと思っていてもなかなか手が回らない。

そこで人事評価報酬制度をつくったことがあるだけですごい喜ばれるんですよ。他には、ITツールとかを導入する部署も総務が兼任しているのですがなかなか手が回っていないことが多いんです。

だから僕もこないだ、Zoomを紹介して、マイクとスピーカーを購入して行ったのですが、それまではほとんど行われていなかったWEB会議が現在では毎日のように利用されています。このように、頭では分かってるけど、それを実務として手足動かして前に進める人が不足しているのです。

ですから結構、普通の大企業とか大都市でやってる当たり前のことをアドバイスだけじゃなくて、手足も含めて一緒にやるということが価値が高いことだということが分かってきました。

ですので、僕らはよく求人とかで書かれている大企業の役員まで経験されたようなハイクラス人材とか、プロ人材みたいな人が大胆な改革をするような業務ではなく、普通にやるべきことを現場の社員と一緒に手足を動かして仕事を前に進める業務をご紹介していますし、それができる人はたくさんいらっしゃると思っています。


今までもっと具体的に、例えば、こういったニーズがあったよというのを教えてもらってもいいですか。

猪尾
はい。人事周りができる人っていうのはすごい喜ばれていて。ですから、大企業で数年人事やってたみたいな人であれば、もう、すぐ大活躍できますね。これが1つ。

他にも業務改善みたいなところで、業務をマニュアル化したり、業務フローが書いて改善を具体的に進めていくことはニーズがあります。こういうノウハウはなかなか積み上げでは難しく、中小企業では不足しているノウハウなんです。一方で大企業だとそういうことよくやるじゃないですか。それができる人はすごいニーズがあると思っています。

あとはITツールの導入ですね。例えば、現場からは早くクラウドのファイルサービス使いたいってくるんですけど、総務の方がITに強くない50代とか60代の方だったりすると、なかなか営業を受けても決めることが難しかったりします。

「Office365とG Suite、どっちいいかな」みたいな。でも、これはこっちのほうがいいですよっていって、決めてあげて手続きまで行い、導入まで一緒にやってしまうみたいなことが喜ばれます。


喜ばれる?

猪尾
超喜ばれます。


どちらかっていうと、チームを組成する段階のイメージですか?

猪尾
いやいや、当社では社歴も長く、社員が数十人いるなどいる会社をメインにお手伝いをしています。


そうなんですか。

猪尾
そうです。もう何十年、何百年続いてる会社なんですけど、今までの流れで紙でやってたり、すごい古いメールサービス使ってたり。だからこそ、なかなか、流れでこれまでやってきたことを変えずらいということもあるんだと思います。


そうすると今、モナキさんからコメント来てて、「40代とか50代の方が時間的余裕もあってよさそうですね」みたいなコメントも来てますけれども、まさにそんな感じですか。

猪尾
そうですね。最終的にはオールターゲットにして、若い人にもどんどんやっていってもらいたいと思ってるんです。最初のとっかかりはたくさんの経験や解決の引き出しをお持ちの50代の方たちからやって頂けるといいなと思っています。


そこからだんだん年齢を下げていって。

猪尾
そうです。


ヒデさんから、「20代30代の人材も地方にいくという選択肢が取れる」というコメントが来ています。

猪尾
そうです。最終的にはそういう地方と大都市でキャリアを行ったり来たりできるような。例えば、新卒で大企業3年行って、そのあとは地方に転職して。そうすると人数が少ないんで、いきなり部長とかやれるチャンスがあるわけですよね。

5年10年やって、小さいけどひと回り経験して、自分で意思決定する経験をたくさん積めば大きく成長できるので、その後でまた大企業に戻る、というようなキャリアパスもあるといいなと思っています。

今、地方に行くと都落ちみたいな、ワンウェイみたいに感じる方も中にいらっしゃるのですが、そうじゃなくて、環境が違うことをうまく使いこなす働き方が広がるといいなと思っています。


ポジティブに。

猪尾
今、大企業とスタートアップを行ったり来たりする働き方が少しずつできてきてると思うんですけど、それをうまく大都市と地方の間でもそういう働き方をする人が増えたらいいなと思っています。地方にはこれまでもお伝えしたようない余白が多いので何よりチャンスがいっぱいあるので。


確かに。

猪尾
そういう意味では1個1個の規模が小さいだけで、ちゃんと当たり前のことを着々とやりきれば成果が出やすいということがあると思います。ローリスクミドルリターンですね。


早く成果も見れると。

猪尾
そうです。


ウチダさんから質問で、「ギャップを小さくしてマッチングをさせるのは本当に人材分野では難しいと言われてるんですけれども、どんな工夫をされているんですか」

猪尾
ギャップっていうのは何だろう。


実際の大都市の人材と、中小企業の仕事とのマッチングの部分ですね。

猪尾
そういう意味では、僕らのほうである程度、地方の中小企業で共通的にニーズがある業務分野、例えばさっき言った人事と業務改善とITツールみたいにある程度絞ってメニュー化してるんですよ。

「この業務ができそうな方ご登録お願いします。」「このような業務にニーズがある企業の方ご登録をお願いします。」って。事前にある程度、分野を特定し深掘りをしていくことで比較的マッチングが行いやすいのではないかと思っています。

1個1個フルオーダーでカスタマイズやると大変なんですけど、まずはそこから始めています。


素晴らしい。そうしましたら最後に、「次こういうことやりたい」っていう未来を最後に教えてもらえますか。

猪尾
今はフェーズとして、「このモデルでいけそうだな」っていうのは分かったんですけど、まだある意味竹やりでやってる状態なんです。

そこをWEBシステムである程度自動化できるようなプロダクトをまさに開発してるんですよね。

まずプロダクトつくって検証して、全国に展開できればと。今はまだ長野県だけでモデル地域でやってるんで。

プロダクトを今つくってる最中で、ちょっと力が足りてないんで、フロントサイドのエンジニアさんだったり、UIとかUXのデザイナーさんとかに、手伝ってもらえればと思っています。

プロダクトをつくって、スケールできるねっていうのを検証し終えたいって感じですね。これを半年ぐらいでやりたいなと思っています。


地方創生や、猪尾さんに共感されたエンジニアの皆さんにぜひ来てほしいですね。

猪尾
来てほしいです。よろしくお願いします。


よろしくお願いします。それでは猪尾さんでした。ありがとうございました。

猪尾
ありがとうございました。

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嬉しいグォー!これからも応援よろしくグォ!
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