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「人」こそインフラ。反骨精神が拓く、イントレプレナーからアントレプレナーへの道。

プロフィール

リファラルが可能にする「全社員人事部化計画」

ー MyReferさんの事業内容をお聞かせいただけますか。

「会社とつながる全員をファンにする」というコンセプトで、リファラル採用を促進するプラットフォームを運営しています。
リファラル採用とは、社員の知人や友人を紹介・推薦してもらい、選考する採用手法のこと。表面的な求人情報や履歴書に書かれた経歴よりも、リアルで生々しい情報に価値が移り変わってきている今、社内外の信頼できる人脈を介した採用活動こそ、個人・法人の双方のポテンシャルを最大化させる要と信じ、MyReferを運営しています。

ー なぜリファラル採用というドメインを選択されたのですか。

インテリジェンス時代、超巨大企業から一桁名のスタートアップまで幅広く採用のサポートを行ってきましたが、本質的なマッチングが起こっていないという課題を常に感じていました。簡単に言うと、法人側では「アットホームな職場」世の中にどんだけあんねんという話で、個人側では「営業MVP」世の中にどんだけおんねんという話で、双方化粧をしているのが当たり前になってしまっている。これでは、人材の最適配置はもちろん、人材の流動性も高まっていきません。

そもそも情報過多の現代において、求人情報だけでは差別化を図ることはとても難しくなってきています。そうなったときに、自社に勤める社員からのリアルな声かけを促進させるリファラルこそが採用の競合優位性を担保できると考えました。

ただ、リファラル採用の運用って結構面倒くさいんですよ。自社のリクルーティング情報や空きポストを認知させること紹介の制度設計まで。運用フローが煩雑になりがちなんです。そこを徹底的にヒアリングして、簡単に・楽しく運用できるようにサービスとして落とし込んでいきました。


ー しかし実際のところ人事や管理職以外の社員が採用に関わる、という文化は容易に根付くものでは無いと思います。
その課題をMyReferはどのように認識し、対応しているのでしょうか。

リファラル採用においては社員の愛着(エンゲージメント)が不可欠です。いわゆる動機付けの部分ですね。MyReferでは社員が当事者意識を持ちやすくなるような機能を搭載しています。

たとえば、アプリのタイムライン上に求人だけではなく自社のニュースが流れてきて、そこにリアクションができたり、SNSで拡散できたり、拡散したタイミングでソーシャルギフトのインセンティブが自動で配られたり。この情報が溜まっていくことで、会社側も自社の社員がどのようなニュースを好意的に思っているかを把握することができます。また、社員が求人情報を友人に紹介するときのコメントから、実際に自社のどこをおすすめしているのかが分かります。つまり、MyReferを利用するだけで、自社の魅力ポイントを自動で蓄積することができるのです。

これを活用していけば、「アットホームな職場です」といったような双方に何のメリットにもならないアピールは無くなっていきます。社員自社のファンになりながら楽しく紹介ができるというようなツールを提供しています。

起業のための「就職」

ー MyReferはもともとインテリジェンスの社内ベンチャーとして立ち上がっています。当初、起業ではなく事業家の道を選んだ理由はなんでしょうか。

高校生のときから漠然と起業したい、という想いを抱えていました。
というのも出身が和歌山で600年以上続く寺ということもあり、一般的な他の家庭と比較するとルールに厳しい環境で育ちました。ゲームは1日水曜日の1時間しか出来ないから、みたいな。(笑)
そうすると、ムクムクと反骨精神が育ってくるんですね。自分自身の存在意義を世の中に発揮してやるんだ、インフラをつくるんだ、といった意思が。

その時点では、アーティストの領域か、ビジネスの領域のどちらかを考えていました。元々バンドのボーカルをやっていたり、人気グループのボーカルオーディションで3万人から300名の段階まで進んだりしていたので。(笑)

ただ、アーティストの領域って必ずしも良いコンテンツがリアルタイムにヒットするものではないな、というのも感じていました。良いという評価基準が難しいというのは前提なんですが、「歌がうまい」という要素は現代において絶対的必要条件ではありませんよね。
また絵画をはじめとして、評価までのタイムラグがとんでもなく長いものも多い。僕の中でその部分がどうしても腹落ちしなくて、本質的ではないと感じていました。死後に評価するくらいなら、なんで生きているうちに出来なかったんだろうって思うんです。

それに対して、ビジネス領域でヒットする良いコンテンツは限りなくリアルタイムで流行っていくし、Facebookなんか今や巨大プラットフォームになっていますけど、世に出てきてまだ10年くらいで世界のインフラになっていますよね。やるならビジネス領域だな、と。

ー その高校時代の想いとは裏腹に、インテリジェンスへの新卒入社を決めていますよね。それは何故でしょうか。

僕の中では相反するものとは思っていません。むしろ起業するにあたってのひとつの手段にしかすぎませんでした。当時の僕はまだまだビジネスを自分でつくって、いきなりローンチしていきなりスケールさせる力はありませんでしたし。今でこそ仕組み化された巨大企業ですけど、当時は「インテリジェンス」という名前の、ある種起業家の登竜門みたいな雰囲気があったんですよ。サイバーエージェントの藤田さんや、アトラエの新居さんが代表的ですね。なので、人材サービスという分野にこだわっていたというよりも、あくまでもインフラとなるビジネス・会社を創るという目標があってそれの登竜門、勉強のための選択でした。

だから、就活時も「社内ベンチャー制度を使って2年で辞めて起業しますけど、それでもよかったら内定出してください」と言っていました。(笑)
本当にこんなビッグマウスによく内定を出したもんだと今でも思います。

社内ベンチャーのジレンマ

ー その経緯がありMyReferを立ち上げられた訳ですが、社内ベンチャーという制度の難しさを感じることはありましたか。

イノベーションとシナジーのジレンマ、というのがまさにだな、と。
社内リソースを活用して事業を立ち上げられる一方で、悪い言い方をすると、起業家のエネルギーを減退させる要素を多分に含んでいるなと思いました。
スピード感、リスクへの意識が弱いことって、意思決定のレベルを下げると思っていて。社内の一事業部という特性上、上に決済を取らなければいけなかったり、細かい金額の投資に対しての当事者意識は、本当にイチから独立した場合と圧倒的に違っていたと思います。

途中から細かいPL、あんまり見なくなっちゃったんです。
「この3万円の投資で会社が潰れるかもしれない」という危機感を持つことが出来ていなかったんですよね。

あとは目標の置き方でしょうか。1年で単黒だとか、短期指標なんですよね。もちろんそれはそれで必要なんですけど。
ただ、今のスタートアップのビジネスはむしろ1~2年は最初赤出せと言うぐらい、スケールするためには赤を掘って大きくいかなきゃいけない。
だけども、社内ベンチャーの場合それを貫き通すのが難しいというのは世の中的にあると思います。起業家と事業家の違いはこういうところなんだろうな、と常に感じていました。

もちろん事業オーナーの目指すものや経営流儀にもよると思うので、それを差し引いても社内ベンチャーのいい部分はあると思いますが。

スピンオフを知らない社員による「MBO」

ー そこからMBO、スピンオフへと動かれていくわけですが、具体的な意思決定のきっかけはいつだったんでしょう。

1年目の単黒はドーピング的に何とか持っていき、2年目も引き続き黒字で一定事業の成長はしてきたものの、やはりそこから先を考えたときに、自分が本当にやりたいこととのギャップが生まれていました。
選択肢としては2つで、外に出るか、交渉するか。

ー 交渉というワードが出ましたが、そもそもMBOやスピンオフについて見識があったわけではないですよね?

あるわけがないじゃないですか。(笑)MBOの生々しい実例なんてほぼ世の中に出てこないのでスピンオフ?え?スピンアウトとカーブアウトと何が違うの?って言う感じで。
しかもインテリジェンスの歴史上、これまでMBOやスピンオフの前例もほぼなかったので半ば無理だろうと諦めて横展したスタートアップを立ち上げる準備をしていたのですが、パーソルホールディングス副社長の高橋から「まあ、待て待て」と言われてから、潮目が変わり始めた。
インテリジェンスとしても、これまで多くの起業家を輩出してきた一方で、よりオープンイノベーションを加速させるために新しい独立の形をサポートしてもいいのではないか?と考えていただけたんです。懐の深さが凄いなと今でも思います。
「サポートできる部分もあるだろうから、いくつかディール(取引)のモデルを考えてこい」と言われてからはもう、短期間でむちゃくちゃ勉強して情報収集して、それこそM&Aとかファイナンスのプロの人たちにいろんな事例を聞いて、最短でキャッチアップしました。なんにも知らなかったので、本当に。

でもこの経験のおかげで今では世の中の大概のM&A、MBO案件のファイナンススキームは理解できるようになりましたし、絵を描いて実行するところまで全て実施したからこそ裏側も理解しているので、事業会社の新規事業の方からこの手の案件の相談もよくもらうようになりました。思わぬ副産物的なスキル開発でした(笑)

ー とてつもない労力が必要だったと想像できますが、それを乗り越えるモチベーションは一体なんだったのですか。

結局は原点の強さだったと思います。世の中に対して、自分たちが生きた証を残したい、インフラをつくりたい、ゲームチェンジを実現したいという、ただひたすらの欲求。

僕の観点ですが、超巨大商社で100億円の事業予算を使ってめちゃくちゃデカいビジネスをやっていたとしても、あんまりカッコいいなと思わないんですよね。「それって商社だからでしょ?」というふうに斜に構えたように思ってしまうんです。世の中は弱者が強者に勝つシナリオを求めると思っていて、たとえばワンピースのメンバーが初めから四皇ぐらいの強さがあったら、誰もたぶん支援しないと思うんですよ。

商社の例えは極端ですが、似たような息苦しさを感じていたんです。
僕たちが「MyRefer」というメニューを紹介したとしても、企業側からすれば、インテリジェンスの1サービスとしか見られない。
世の中に爪痕を残すならば、いよいよこの船から出ていくしかない、と。
正直きつすぎて、もう一回人生を歩んでも二度とやりたくないんですが(笑)

イントレプレナーからアントレプレナーへ

ー 実際にスピンアウトして、野に放たれた後の苦労はどうでしたか。

社内ベンチャー時代と比較し、難易度に明確な違いがあるかといえば、そんなに変わらない、というのが結論かもしれません。資金調達にしても、外に出た後の方がしやすかったですし。

唯一大変な部分があったとすると、それは明確に間接コストの部分です。
社内ベンチャーで独立採算といえど、法務や労務、財務管理については本社がやっているケースは多いと思うんです。
なので、独立後1〜2ヶ月は事業を伸ばすというよりも、バックオフィスを整えることに経営陣のリソースを割きました。ここについては我ながらグッジョブだったな、と思います。

ー 逆に組織構築の上で、反省している部分はありますか。

実は社内ベンチャーつくるとき、社内の人間をほぼアサインしなかったんですよ。ナンバーワンでもねえ奴らが何が新規事業だと思って、外から採用してつくっていたんですね。

でも今、改めて振り返ってみると、結構バイアスだったなと思っています。
やっぱり大手の人間って優秀なんですよ。0→1フェーズというよりも、1→10、10→100のフェーズにはなりますが、それこそ1を伸ばしていかなければならないシリーズA時点のスタートアップにおいて、大手企業でバリバリ活躍していた人材って喉から手が出るぐらい欲しくて。

そういう方が入ると入らないとでは、事業の成長スピードが圧倒的に違うなと感じているので、大絶賛募集中です。

大手出身でもスタートアップで輝ける

ー 大企業からスタートアップに飛び込むことに対して、不安を持たれている方も多いと思います。その方たちへメッセージがあれば教えてください。

先述したように今のスキルセットに自信を持ってベンチャーに飛び込んでも大丈夫、活躍できるというのは伝えたいです。
また市場価値の観点で言うと、ファイナンスの概念と同じで、将来価値という考え方を持つべきだと思っています。大手で長年しがみついて35歳まで勤めましたという人と、28歳でスタートアップに飛び込んで、何なら起業して失敗しましたという人がいたとします。たしかにお金は持っていないかもしれませんが、僕だったら一緒に働きたいなと思うのは後者です。将来価値、伸びしろの部分がとても重要ですから。

もう一つ宣伝をさせていただくと、弊社はいい意味でも悪い意味でも、スタートアップでありながら、もともと大手という両方のバックボーンを兼ねそろえているので、「挑戦と安心がセットでついてくる」制度設計をしています。人事制度や福利厚生はパーソルと同じレベルのものを用意していますし、新規事業がやりたい方は500万で事業をつくれる制度も準備しています。大企業にいるけども新規事業をつくりたい、もっともっとサバイブしたい、そういうエネルギーを持て余している方とぜひ一緒に働きたいなと思います。もともと僕も大手出身ですから。

ー 最後になりますが、今一番楽しいことを教えて頂けますか。

うーん、何でしょうね。(笑)
サバイブしている感じ…というんですか、課題に直面することが多いので、最近は。それがすごい楽しいですね。社内ベンチャー時代は自分事化しているつもりでも、出来ていなかった部分がやっぱりあって。
今はちょっとした課題でも、会社の業績を左右するインパクトになるので、「うっ...」となりながらも生きてる実感とワクワクのほうが勝っている感じです。

文・写真:ami編集部

amiライブ配信日(ここからDL)
第1回:4/1(月) 12:00-12:20  / 第2回:4/12(金) 12:00-12:20


ありがとうグォ!シェアして一緒に盛り上げて欲しいグォ!
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INITIAL

2019年11月15日amiはINITIALに生まれ変わりました。スタートアップの今と未来を徹底解説。資金調達をはじめとした定量面での分析情報、起業家や投資家への独自取材による充実のコンテンツをお届けします。https://initial.inc/

INITIAL起業家紹介 note

2019年11月15日amiはINITIALに生まれ変わりました。スタートアップの今と未来を徹底解説。資金調達をはじめとした定量面での分析情報、起業家や投資家への独自取材による充実のコンテンツをお届けします。https://initial.inc/
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