20181120_ケップル神先さん

スタートアップ投資の世界を広げるプロダクト。ニッチな市場のゆえの悩み

この記事は、FUNDBOARD 神先さん(@kanzaki_kepple)のamiライブ配信の書き起こしです。

株式会社ケップル 代表取締役 神先 孝裕さん

amiファシリテーター佐久間(以下、佐久間)
配信に参加している方、質問や、聞きたいことを気軽に質問してください。

まず、初めての方に向けて、簡単にサービスの説明をしていただきたいなと思います。

ケップル神先さん(以下、神先)
私は、FUNDBOARDというサービスを運営しています。スタートアップに投資をしている投資家、事業会社、ベンチャーキャピタル向けの投資管理ツールになっております。

これまではスプレッドシートとかExcelで投資先の管理であったり、ファイル共有をDropboxなどのサービスを利用していたと思うんですけども、そういったすべての投資先の情報を一元管理できるSaaSのサービスになっています。

佐久間
ニッチなサービスで、前回「どういう課題を解決しているのかを分かってもらうのが大変なんだ」というお話をしていたと思うんですけど、どこが特に大変ですか?

プロダクトの共感を得るむずかしさ

神先
起業家と投資家をつなげるサービスと思われてしまうケースが多いんです。

佐久間
マッチングサービス的なね。

神先
実際は、バックオフィスの課題に刺さるようなプロダクトになっています。

佐久間
神先さん自身が強い原体験を持っていても、共有するのが難しい気がするんですけど、大丈夫ですか?

神先
おっしゃる通りです。(笑)

プロダクトの仕様を詰める際も、「こういう書類を現場の人がこうつくっていて、実務はこうなっているから、課題感があるんだよ」ということを、全員で共有することを心がけています。

佐久間
先ほどサービスの説明をしてもらったんですけど、その原体験が全然ない人に話して、「FUNDBOARDってどういうことを目指しているサービスなの?」と聞かれたら、どう返しているんですか?

神先
FUNDBOARDは、「投資家さんを裏側で支えるようなサービス」だよ、と言いますね。表は華やかに見えていても、裏側ではすごく大変な仕事をキャピタリストさんはやっています。実は現場側ではこういう大変さがある、ということをよく伝えていますね。

佐久間
私も以前、ベンチャー投資を担当していたので何となく分かるんですけど、その「現場の大変さ」が分からない人も多いと思うんですよ。

より具体的に、「これが大変なんだ」という話をお願いします。

神先
たとえば、投資契約書を捺印したあとに入金期日の管理を忘れてしまうとかですね。

佐久間
それはひどいですね。

神先
でも、ありがちなんですよ。

佐久間
投資契約を結んだのに着金しないんですね。

神先
とくにエンジェルさんだとすごく忙しい方が多くて、契約に捺印して満足してしまうパターンが多々あります。そういう全体のタスク管理がされていなくて、実務がうまく回らないことがあるんです。

投資したあとは、数人のキャピタリストで数十社投資するシチュエーションがありますので、情報をもらう作業だけでもかなり大変だったりします。

あとは、ファンドの後ろにLP(ファンドに対して資金を投資する投資家)さんがいらっしゃいますので、LPの方と議論をするための書類づくりも課題が大きいんです。

佐久間
ベンチャーキャピタルの実務は分からない人が多いと思うので、少しかみ砕いて説明します。

ベンチャーキャピタルは資産・資金を運用していて、そのバックにはベンチャーキャピタルに投資するLPと言われる投資家の方がいます。その人に「適切に資産を運用していますよ」と、定期的にレポーティングしないといけないんだけど、そこが非常に大変なんですよね。

神先
めちゃくちゃ大変ですね。

佐久間
どういうレポーティングができるんですか?

神先
基本的には投資先の概況をまとめます。

たとえば、「直近で新規投資こういうところしました」「既存投資先はこういう変化がありました」「今、現状はこういう投資検討をしています」という情報がベースになります。

レポーティングはすべて投資先の個社ごとの情報がベースになっているので、そもそも投資先からの情報をもらえない限りはレポーティング作業が進まないんです。

ただ、あまり強く起業家にもそれを言えない。いかにスムーズにコミュニケーションを取るかが非常に大事だと思います。

佐久間
変な質問していいですか?

日本のLPの環境は特殊じゃないですか。LPとして参加する機関投資家がすごく少ないですし。

レポーティングの部分が整備されていないという問題点があるからLPもそんなに増えないんだ、ということが言われていると思います。

FUNDBOARDはそういう問題の解決にもつながって、VC自体に投資する人が増えていく、そういった投資の基盤をつくるサービスになるんですか?

FUNDBOARDが広げる投資の世界

神先
おっしゃる通りです。

佐久間
素晴らしいじゃないですか。(笑)

神先
そこを目指していきたいって思っているんです。おっしゃるように、VCは今、LP構成が事業会社中心になっています。これを海外の機関投資家から注目を浴びる環境に変えていかないといけません。

資料集めとデータ集計する時間にあまりにも工数がかかり過ぎていますから、そういった投資管理実務を効率化して、本質的なレポーティング作業に注力しないといけない。

時価評価の話(投資先の株式を時価で評価すること)も最近話題ですけども、機関投資家を巻き込むためには、時価評価に関する実務も入ってくるので、そうした作業をサポートするサービスも実装したいなと思っています。

佐久間
そうすると、ベンチャー投資をしているエンジェルの方やベンチャーキャピタルの方からすると、レポーティングとかバックオフィス管理といったタスク管理が楽になりますね。

そこがきちんと整備されることで、LPへのレポーティングもしやすくなって、機関投資家にアピールしやすくなって、投資家も増えるという、夢のようなツールな気がします。

神先
まさに今、LPさんへのヒアリングもかなり回っています。LPさんとしても、複数ファンドに出資していると管理がかなり大変になるんですよね。

なので、投資先ファンドからの情報もきちんと集約できるような、そんなアカウントもつくっていきたいなと思っています。

佐久間
逆に言うと、今までなんでそれがあまりなかったんですかね。

たとえば、上場株投資でいうと、ファンドアドミ(ファンドの運営に関する事務一般を執行する会社)にはたくさんプレイヤーがいるじゃないですか。

未上場株、とくにベンチャー投資の基盤が整備されてこなかったのは、市場が小さいからなんですかね?

神先
マーケットサイズがあまりにも小さかったということと、専門性が高くてなかなか仕様に落としきれないということがあったと思います。

あとは、われわれのように、「VCではないけれどもVC向けのサービスをやろう」と思う方がこれまでいなかった。

佐久間
市場規模が日本より大きいアメリカであれば、上場株と同じようにファンド管理プラットフォームが存在するんですか?

神先
あります。最近はイギリスでもやり始めていますね。まだ先進国だけですが。

佐久間
われわれもentrepediaというサービスを運営していて、そこでいろんな統計データを出していますけど、ベンチャー企業の資金調達が盛り上がっていることが分かっています。

ただ、投資家の、とくにLP投資家の裾野が増えないと、これから更なる盛り上がりを期待するのはすごく厳しい状況なんですよね。だからこそ、これはまさに日本に求められているサービスだと思います。

神先
なるべく外貨を獲得できるきっかけになるようなサービスに育てたいなと思います。

佐久間
「前職でスタートアップの経理作業をやっていましたが、株主のレポートめちゃくちゃ大変でした」というコメントがきています。

神先
そうですよね。

佐久間
ここにも原体験がありました。(笑)

「スタートアップ側もサービスを使えるんですか?」という質問もきています。

逆に資金調達が必要な側もサービスを使えるんですか、という質問ですね。開発はどんな感じで進んでいますか?

神先
来年春のタイミングで、スタートアップ側のサービスのローンチを予定しています。

「オンラインで株主名簿や資本政策をつくれる」ということと合わせて、投資家にレポーティングできるような機能の開発を、まさに今進めています。

佐久間
楽しみですね。(笑)

残り5分ぐらい、主に神先さんが今後目指している未来の話をしていきたいと思います。2019年はどういう年にしたいですか?

2019年の展望

神先
今年は、だいぶ変化が激しかったんですよ。

佐久間
そうですね。プロダクトをつくってローンチして。

神先
資金も厳しい中やってきまして、かなりリスクを負った年だったので、来年は今以上にリスクを取れるようなロードマップを、自分自身でちゃんと見つけて進む、ということを考えています。

あとは、立ち始めている事業も、もう1歩前に進むように組織づくりを頑張っていきたいなと思っています。

佐久間
プロダクトにフォーカスした未来ですね。2019年、2020年にはこういうプロダクトにしていきたい、というところはどうですか?

神先
2019年、日本のマーケットについては投資家さんも起業家さんもFUNDBOARDを使っていただける状態にしたいと思っています。

2020年はそういったFUNDBOARDを使ってくれているユーザーさんに対して、更なる付加価値を提供できるようなサービスに進化をしたいです。

佐久間
当然聞くんですが、その「更なる付加価値」ってどういうものですか。

神先
今は管理ツールですけれども、管理ツールから1歩踏み込んで、われわれのサービス上で構築しているデータやユーザーキットを使って、起業家さんや投資家さんが投資活動・事業活動をもっと推進できるようにしたいんです。

佐久間
具体的にもう少しだけお願いできますか?

神先
たとえば、FUNDBOARDで築くデータというのが、投資家さんの投資情報や起業家さんの資本政策になっています。

これはもちろん、個別の情報をわれわれが抽出することは一切ないですけれども、そういった情報をうまく活用して、起業家さんが設立する時に何パターンも自動で資本政策をつくれるような機能を実装したいなと。

あとは、起業家がファイナンスをする局面で、「こういう投資家さんが相性がいいんじゃないですか」逆に、投資家さんには「こういう起業家さん興味ありますよね」という示唆ができるような、データをうまく使った事業展開を考えています。

佐久間
起業や資金調達、ベンチャー投資に関する「知」を集積させていって、役立ててもらうということですかね。

神先
そうですね。日本だけではなく、海外の投資家も起業家も、日本の投資家も起業家も、ボーダレスにつなげていきたいなと思います。

佐久間
大きな話、出ましたね。(笑)

具体的にどのタイミングでどの国に展開していくのか、考えているところがあればぜひ聞きたいです。

神先
日本の投資家さんは、海外投資も半分くらいの割合で行われているので、それを軸にわれわれも海外のスタートアップにつながっていくのがスムーズかなと思っています。

なので、インドネシアとか、シンガポールとか、イスラエルとかになってくるかなと。

佐久間
アジアはおそらく整備されていないというイメージがあるということですね。

もしかしたら、先進国でも日本より整備が遅れている国もあるかもしれなくて、そういうところから解決していくつもりはないんですか?

神先
マーケットサイズが大きすぎると、投資家と起業家さん、双方に提供するサービスとしては成熟し得ない可能性があるので、マーケットサイズが小さければ小さいほど、両者にちゃんと使ってもらえる可能性が高いと考えています。

なので、起業家も投資家もまだまだ未成熟な国こそ、われわれが入って、そのマーケットをより大きくできるようにしていけたらいいですね。

そういった考えがあるのでスタートアップが多すぎる地域に入ろうという思考は、私自身はあまりないです。

佐久間
上場株についていうと、ヘッジファンドからファンド管理ツールとIRプラットフォームなどで、それぞれのプレイヤーがすでに完全に分離しています。

ベンチャー投資であれば、とくにまだ市場が小さい日本みたいな国であれば、両者にとって最適なプラットフォームをつくれる可能性があるんじゃないか、ということですね。

神先
そのマーケットの拡大を一緒に支援して、一緒に大きくなろうというのが私が思っていることですね。

佐久間
最後に、2019年に向けてこれだけはアピールしたい、ということはありますか?

神先
来年は採用を強化する年になります。とくに、ビジネスサイドの採用に力を入れていきたいですね。セールスもこれからインサイドセールスに変えていきますので、その立ち上げメンバーを募集しています。

あとは、開発ラインも増やしたいので、開発の責任者に育ってくれるような若手の採用をしたいなと思っています。

それに合わせてディレクターも合わせて増やしたいなと思っていますので、全方面で採用していきたいですね。

佐久間
とくにこういう人にきてほしい、という方針はありますか?

神先
スタートアップが大好きな人。

佐久間
うちと完全に被りますね。(笑)

神先
あとは、投資家も大好きであってほしいですね。われわれ自身もスタートアップで、そしてユーザーもスタートアップと投資家という状況はなかなかないと思っています。それが、私たちと働く価値だなと思います。

佐久間
被りましたね。

神先
はい。ぜひ一緒に。

佐久間
じゃあ、一緒に採用面接しましょう。(笑)

神先
お願いします。(笑)

佐久間
神先さんにお話を伺いました。ありがとうございました。

神先
ありがとうございました。

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2019年11月15日amiはINITIALに生まれ変わりました。スタートアップの今と未来を徹底解説。資金調達をはじめとした定量面での分析情報、起業家や投資家への独自取材による充実のコンテンツをお届けします。https://initial.inc/
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