20181105_POL加茂さん

「プレスリリース大作戦」泥臭くやって見つけたニワトリと卵の問題の解決法

本記事は、POL加茂さん(@KamoMichiaki)のライブ配信の様子です。

株式会社POL 代表取締役CEO 加茂 倫明さん

amiファシリテーター町田(以下、町田)
本日配信していただく起業家は、POLの加茂さんです。

POL 加茂さん(以下、加茂)
よろしくお願いします。

町田
最初に、POLはどういう課題を解決しているサービスなのか簡単にご説明いただけますか。

加茂
POLという、設立して2年ほどの会社なんですけども、「研究関連の領域をテクノロジーで変えていこう」というテーマでやっています。

具体的には、2つサービスをやっています。

1つ目が、「LabBase」というサービスです。研究者版のLinkedInのようなサービス、とよく説明しています。

主に、修士・博士の理系の院生さんが対象です。どこの研究室にどういった学生がいて、どういう研究をしているのかというのを企業が全部検索してスカウトできる、主に理系の院生の採用支援のSaaS型のサービスですね。

2つ目が、「LabBase R&D」というもので、「LabBase」の関連サービスです。

町田
2つ目は最近始めたサービスですね。

加茂
そうですね。今はクローズドβ版として、水面下でやっているんですけど、「LabBase R&D」は採用ではなくて、共同研究先のマッチングのサービスです。

教授や准教授といった方たちが「どういう研究をこれからしていきたいのか」、「どういう企業と組みたいのか」を全部検索できて、企業の研究開発の部署からコンタクトができる、これもSaaS型のサービスですね。

その2つを運営しています。

町田
サービスの説明をしていただいたんですけども、今日はそれに至るまでのお話を深掘りたいと思っています。

そもそも、なぜ起業に至ったのか、その原点を伺ってよろしいでしょうか。

「自分が死んだあとも何かを残したい」という思い

加茂
了解です。僕は意識高かったので(笑)、高校2年ぐらいから起業したいって思い始めました。

別に暗い話とかじゃないんですけど、おじいちゃんが死んだとき、初めて身内が亡くなって、「自分もいつか死ぬんやな」と思わされました。

そのときに、「どういうことを人生で成し遂げれたら成功なんだろう」みたいなのを悶々と考えた結果、「自分が死んだあとも何か残したいな」と思ったんですよ。

頑張ったのに、死んでゼロになるのはすごく虚しいなと。

「何か残す」ことをどう達成するか考えたとき、3つの点から「起業がいいな」と思ったんです。

1つ目は、父親が経済学の教授をやっていたことです。

家にビジネスの本が沢山あったので、小さいときは親に読まされたりしながら、徐々に自分で興味を持って読むようになりました。

高校生の時はモンスターハンターがすごい流行ってたんですけど、みんなが電車でモンハンする中、僕はバフェットを読むみたいな意識高さを発揮していました。

2つ目は、人に「これやれ」って言われるのがすごい苦手で、「やりたいからやる」ほうがすごい楽しいし、パフォーマンスも出るという自分の性格。

3つ目は、人に喜ばれるのがめちゃめちゃ好きで、サプライズとかもどんどんやってしまうこと。

起業すればビジネスができて、好きなことも追及できて、多くの人に喜んでもらえる、すごい天職だと思って、「起業したい」って言い出したのが高2のときですね。

町田
最初は何か分からないけど、「とりあえず起業したい」みたいな思いがあったんですね。

加茂
そうですね。最初からこの事業をやりたいとかはなくて、高校時代から「起業したい」という感じだったんですよ。

大学に入っても学業はほどほどに、授業の合間をぬってインターンに行ったりとか、長期インターンもやっていました。

そうこうしているうちに、理系の先輩が困っている課題に出会って、この領域を解決したいと思うようになって、起業しましたね。

町田
起業した人のパターンで、「原体験から入る人」と、もう1つ、「やっているうちに、すごいそれに愛着が湧く」という2つがあると思うんですけど、後者の部分がある?

加茂
両方の面があると思っています。

僕の父親が教授、母は大学の事務員をやっていて、どちらも大学で働いているんですよ。なので、小さいときからいろんな分野の研究室に行きながら育ってきているんです。

なので、もとから、アカデミアとか研究は面白いという思いはありました。

あとは、LabBaseを考え出したのは、僕の理系の先輩が、「研究が忙しすぎて就活できない」って言っていて、「推薦で行けるしあそこでいいか」みたいな感じで就職先を適当に決めようとしてたんですよ。

行こうとしていた会社が、個人的には違うだろうという思いもあったんですけど、決め方自体が、その人にとっても、社会にとってももったいないなと思いました。

自分がやりたいことと関係なく、研究室とつながってるかどうか、推薦枠があるかどうかで選択肢が狭まっちゃっていた。そこを解決したいというのが、最初にLabBaseを考え始めたきっかけですね。

ただ、やっていくうちに、理系の就活以外にも、研究関連の課題がたくさんあるなって気づいていきました。「研究費が足りない」とか、「共同研究したくてもできない」とか、いろんな課題があったので、これを全部解決したら絶対、科学とか社会の発展スピードが上がるなと思いました。

そこから事業構想が膨らんでいったという感じですね。

町田
LabBaseでは奨学金も検索できるし、メディアもあるように、包括的にやっていくイメージもあるんですか。

LabTechはブルーオーシャン

加茂
そうですね。賛否両論あると思うんですけど、うちは、あんまり選択・集中しすぎないという方針でやっています。選択・集中は大事なんですけど、しすぎないというところも重要。

LabTechの業界って、比較的ブルーオーシャンなんです。レッドオーシャンだと一点突破して突き抜けないと負けるので、選択と集中をするべき度合いは高くなると思うんですけど、LabTech市場はブルーオーシャンだからこそ、選択と集中をしすぎず市場理解を深めながら様々な事業機会を模索できるというメリットがあります。

あとは、研究関連の領域ってすごい複雑で、経済合理性があまり働きにくいんですよ。

大学の研究者のITリテラシーは高くないですし、新しいサービスを買う度合も低い。それに加えて大学のルールもあったりして、経済合理性が働きづらいんです。

複雑な、いろんな課題があるので、倒せるドミノから倒していって、それが、あるタイミングからドバっとすごい一気に倒れていくというイメージです。

LabBaseをやっているからこそ、LabBaseR&Dもすごいやりやすいし、その逆もしかり。

この領域においては、いろんな課題があるので、順番にそれぞれ解決していこうという感じですね。

町田
ユーザーとなる「学生」と「企業」の2つを、立ち上げのときに獲得しなければいけませんが、最初の戦略ってどう立ててたんですか。

加茂
立ち上げ時の戦略ですね。

おっしゃる通りマッチングサービスなので、ニワトリと卵の問題、「学生が集まらないと企業は集まらないし、企業が集まらないと学生も集まらない」という悩みはすごくあったんです。

僕らの場合は、学生から集めようと決めました。

どっちを先に集めるかという意思決定のときに、学生が集まったら絶対企業は集まると考えたので、学生から集めることを決めました。

どうやって集めるかですが、理系学生は研究室にいっぱい固まってるじゃないですか。

獲得したいユーザーがあれだけ固まっている状況って珍しいですし、そこはラッキーだなと思いました。

「研究室を通して獲得しよう」ということで、僕や当時のメンバーで、研究室にノンアポで突撃して、「こういうのをやっています」「使ってください」とひたすら言いまくっていました。飛び込み営業みたいな感じですね。

ひたすら理系学生にプロフィールを書いてもらってみたいなことをやって、ある程度、300人ぐらい集まったタイミングでリリースしたという感じですね。

町田
最初は学生特化で一気に集めたんですね。

加茂
そうですね。

町田
そのとき「企業はどういうところが入るんですか?」という質問はなかったんですか。

加茂
ありましたよ。

「どこが使ってます」とかはあんまり言わずに、「増えていってます」「ちょっと待ってください」「まだ名前言えないんですけど」みたいに答えていました。

たとえオンラインで広告を打っても、「これ、どこも企業使ってないじゃん」となると登録してくれないと思うんです。

対面で人間関係をつくって、「シンプルにこの人を応援したいな」とか、「たしかに、この人の言う通り理系の就活って課題あるよな。じゃあ、ちょっと協力するか」みたいに思ってもらうことができた。

最初はちゃんと僕らが価値提供できている状態ではなかったんですけど、なんとか強引に集めるという感じでした。

学生や企業が集まってはじめて、本当の意味で彼らに価値提供できるようになるので、最初は泥臭いことも含めてやるというのが、LabBase立ち上げのときの戦略でした。最初から価値提供して集められたら一番いいですけどね。

町田
学生を集め終わったあとは、企業をまわると思うんですけど、世の中の企業数ってすごい数があるじゃないですか。

そのときも、「この企業から行く」ような戦略ってあったんですか。

「プレスリリース大作戦」とは?

加茂
いい質問ですね。

立ち上げの戦略で、僕、肝だったと思っているのが2つあります。1つが、ニワトリ卵問題の突破策として、研究室に行きまくること。もう1つが、プレスリリース大作戦。

町田
プレスリリース大作戦。(笑)

加茂
何かというと、「こういうLabBaseみたいなサービスがあったらいいな」って思った段階でプレスリリースを打ったんですよ。

「LabBaseというサービスがもうすぐリリースされます。事前登録募集開始しました」というプレスリリースですね。

狙いとしては、どれぐらい企業から事前登録が来るかどうかで、ニーズの広さとか深さを測れるというのがあります。

それから、来てくれたところに営業しに行って、ヒアリングもしながら、「ここの仕様どうしたらやりやすいですか」と、聞きながらつくれるので、必要とされるものをつくりやすいんですよ。

あとは、最初からもう、「リリースします」「できなかったら返金します」みたいな勢いで契約も取ってたので、その狙いでプレスリリースを打ったんですよね。

そのときには数週間で何百社がガッと来てくれたので、ニーズはあるなって思って、自信を持って取り組めたというのがありました。

それこそリリース、開発もし始めない段階から、有名な大手企業とかに飛び込んで、「もうすぐできますよ」となんとか契約を取っていました。

そのあと、「リリースまでに何百人集めます」とか、「何月にリリースします」って約束したので、そのあとは必死でなんとか、研究室に行って学生集めることを、当時の1号社員として入ってくれたエンジニアと一緒に徹夜しながらやっていました。

感謝しかないですね。(笑)迷惑もかけたなと思ってます。

町田
そうなんですね(笑)聞いていると、すごい泥臭いところが多いじゃないですか。

そうまでしてでも、POLを通して実現したい未来について、加茂さん自身どういうふうに考えていますか。

加茂
起業したときは、そこまで理系の環境をよくしたいと思ってはいなかったんですけど、やっていくうちにいろいろ思いも深まるところはありました。

今は、会社の活動、人材育成を通して、いかに社会をよくするか、いい未来の実現を早めるかというところにモチベーションがあります。

僕らがやっている研究関連の領域って、社会を発展、加速させられる可能性がある領域だなと思っています。

皆さんが今使っているインターネットとかLEDとかも全部研究室発なんですけど、研究室はイノベーションマインドを持っていてるんです。ただ、いろんな課題によって、研究者がポテンシャルを発揮しきれてないんですよ。

なので、僕らがその課題を全部解決すれば、絶対に彼らのパフォーマンスが何倍にもなって、科学や社会の発展スピードは上がるなと思います。

最近、日本の科学ヤバいなって言ってはいるんですけど、日本を科学技術大国に復活させるという思いがあります。

町田
ぜひ!

加茂
あとは、研究って別に日本だけに限定されず、国は関係ないんで、グローバルで科学や社会の発展を加速できるように「俺らがやる!」ぐらいの勢いで、僕を含めてメンバーたちは頑張っています。

町田
hoshikenさんから、「社内みんなで応援しています!」というコメントがあるんですけど、これは?

加茂
そうですね。うちのエンジニアのメンバーです(笑)

町田
リサさんから、「企業さんへの営業、大変だったことがあれば教えてください」というコメントがあったんですけど、それはどうですか。

加茂
今でこそ「もう100社使ってます」とか、「こんなに採用実績出ました」と言えるんですけど、最初は実績がない中で売らないといけないじゃないですか。なので、そこは売りづらいところはありました。

そのときに僕が意識していたことは、「今じゃなくて未来に見せる」というのと、あとは、メリットだけでなく「思い」も感じてもらうということです。

「今じゃなくて未来を見せる」を具体的に言うと、「本気でこういう学生メンバーが集まっていて、このぐらいのペースで学生が増えていこうとしています」とかですね。

「僕はこれまでこういうところでインターンしていて、事業の立ち上げはできます!」という風に、圧倒的な自信感を出すみたいなとこだったりとか。

やっぱりさっきも言いましたけど、初期から提供できるメリットって限りがあるんです。

もちろんメリットは全力で伝えるんですけど、プラスα、「この人と仕事をしてみたいな」、「応援したいな」、「テストユーザーになってサポートしよう」と思ってもらえるように、意識していました。

町田
まさに、サポーターみたいな人たちを集めた。

加茂
そうですね。

町田
社員のメンバーは理系の方が多いんですか。

加茂
ちょっと理系が多いかなぐらいですね、なので、理系しか採用しませんみたいな決まりはないです。

ビジョンの部分で、「研究関連の課題を解決することで社会をよくしたい」とか、「彼らを幸せにしたい」というところに共感してくれるのであれば、文系でも理系でも関係ないです。

町田
もっとお話を伺いたいところなんですけど、残念ながら15分経ってしまいました。

加茂
あっという間ですね。

町田
今回、プロダクトついて細かいお話は伺えなかったんですけども、第2回の配信でLabBaseとLabBase R&Dのお話を伺えればと思います。

加茂
もちろんです。

町田
それでは、今日は15分と短い間でしたけども、POLの加茂さんに配信していただきました。ありがとうございました。

加茂
ありがとうございました。


ありがとうグォ!シェアして一緒に盛り上げて欲しいグォ!
2019年11月15日amiはINITIALに生まれ変わりました。スタートアップの今と未来を徹底解説。資金調達をはじめとした定量面での分析情報、起業家や投資家への独自取材による充実のコンテンツをお届けします。https://initial.inc/
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