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「パンツ」からもがき続けた1年。透明に込めた、スキを伝える優しい仕掛け

「パンツからブレイクして1年、このままじゃダメになりそうで怖かった」と語ってくれたONE NOVAの高山さん。

クラウドファンディングの後、なかなか伸びない販売数、もっと多くの人に届けられない焦り、「透明」が飽きられるんじゃいかという怖さ。数々の感情があったそう。

そんなONE NOVAが、1年間もがき続けて見つけた「透明」に懸ける理由を聞いてきた。

そこには、小さいけれど、思わずジンとあったかくなるような、そんな優しい秘密がありましたー。

それでは、ONE NOVAのはじまり、はじまり。

インナーウェアからの挑戦

ーONENOVAはどのようなサービスですか。

ONENOVA 高山さん 「世界一透明なパンツ」をテーマにしたブランドです。ECサイトを立ち上げて、透明性を大事にしたインナーウェアを、今は販売しています。また、ただオンラインで売るだけでなく、各地でポップアップストアも行って、リアルの場での繋がりも大事にしています。

先日ありがたいことに、Forbesのリテール&Eコマース部門のUnder30 in AsiaのEコマース部門に選ばれました。起業してからの一年を、このような形で評価して頂けたと思うと、嬉しいです。

「透明」の正体

ーパンツを見る限り、「透けている」訳ではなさそうですが、何が「透明」なのですか?

 「透明」とは、物理的に透けている訳ではないです。(笑)商品が販売されるまでの情報を全て見せる意味で、使っています。どういう場所でつくられているか、どういう人の手を経てパンツができているのか、原価、素材など、1枚のパンツに関わるありとあらゆる情報を見せているので「透明なパンツ」と呼んでいます。

そしてその第2弾として、「透明なくつ下」ができました!

今回の靴下は、4月27日からクラウドファンディングを始めますが、ちょうどONENOVAのパンツがデビューしてから1年経ちます。なので、今回のクラウドファンディングは、節目と再挑戦の意味を込めています。

今回の新たな試みとして、クラウドファンディングの応募ページを、公開前の下書きから公開することで、クラウドファンディングも透明化しています。

想いを伝える「優しい」仕掛け

ーこの透明な靴下にはどんな特徴がありますか。

 1つは履き心地です。「やみつきの踏み心地。ふかふかもちもちなくつ下ができました」とサムネイルに書かれているように、ケーキの下地のような履き心地になりました。

もう1つは、想いを伝えやすくする仕組みです。パンツは男性用しかなかったので、大切な方とペアルックでは使えませんでしたが、今回は大きさと色を複数作ったので、それができるようになりました。

なのでたとえば、2人で白とネイビーを履いて、「感謝」や「思いやり」を、言葉にしなくとも靴下を通して伝えられるようになりました。

また、刺繍もできますが、これもただ刺繍ができるだけではありません。靴下に、左右別々に言葉を入れられるのはもちろんですが、今回から敢えて白地に白の糸で刺繍ができるようになりました。

たとえば、「Love you」とか青臭い言葉が書いてあると、なかなか日常的に履きづらいじゃないですか。でも、白で入っていれば、刺繍が入っているのを知っている人ではない限り、気付きません。それこそ、お父さんに贈るときに「Love Daddy」など入れても、恥ずかしくなく履けます。

機能的な部分だけではなく、今回は想いを伝えられるような仕組みも作りました。

知識0から靴下をつくるまで

ー新しいブランドとしてくつ下を追加するにあたって、何に苦労しましたか。

パンツを作るときと一緒ですが、アパレルの素人なので、くつ下の基礎知識を1から勉強するのは大変でした。

何が大変かというと、「言葉が通じない」んですよね。それこそ最初は、工場の人に「こういうものを作りたい」と言っても、思っていたものとは違うものができてしまったりして。

なので最初の頃は、ひたすら工場から送られてきた図面を見ては、そこに書かれている名前を全て覚えて、少しでも早く共通言語を話せるように努力していました。(笑)

(パンツの図面)

ただ共通言語が話せないことのいい面も実はあります。その業界の知識がない状態なので、ある意味一番ユーザーに近い視点が持てます。だからこそ、一見すると非常識なアイディアでも、「ユーザーが欲しいかどうか?」のフラットな視点に立って、提案できるのはメリットでした。

ーそこからどうやってくつ下を作っていったのですか。

ひたすら地道に、くつ下工場の社長とLINEでやり取りしながら、「こういうくつ下がいいんじゃないか?」と、企画を出しては練りなおすのを1年間近くおこない、やっとこのくつ下ができました。

少しだけくつ下のつくり方を説明すると、パンツとくつ下でもつくり方が全然違うんですよね。パンツは生地を縫い合わせてつくりますが、くつ下は編立機に職人さんが編み方をアップロードして、それを元に原型は自動で作られていきます。

ただ、それだけでは靴下ってできないんですよ。機械では筒状のものしかできないので、くつ下のつま先部分は、人が縫う必要があります。とくに今回使うパイル地(タオル地)はくつ下の機械だけでは成形できないので、つま先の部分やかかとの部分などを綺麗な形に成形するのも全て人がやっています。

でもこういう背景のストーリーは、普通に買うだけでは人に伝わりません。だからこそ、製作工程も含めて全部「透明にして」伝えていきたいんです。

重要なのは「本当にいいもの」かどうか

ー作る過程のストーリーを伝えていきたいのですね。

正確には、ストーリーを伝えるだけでは意味がないと思っています。本当にいいものを作るからこそ、そこに物語があり、それを見せる意味があるのではないかと考えています。

今回は作製工程を含めて、実際に工場に行って全て動画を撮ったので、「どういうふうにくつ下ができているのか」も含めてお伝えできると思います。そして、そこからこのくつ下に関わっている人の苦労ややりがい、そして作り手のこだわりが伝われば嬉しいです。

今回のクラウドファンディングも、ただ靴下を買って欲しいのではなく、靴下をつくるところから含めて、作る人も送る人も、そして履く人も、関わる全ての人の想いがONENOVAのくつ下を通して伝わって欲しいです。

実際に自分達で工場で作業を体験したり、原料のウールに使われる羊の毛を刈りにいったりしました。だからこそ、「自分達にとって100%いいものを作れた」と自信をもって言えるものができたので、早く届けたいです!

ユーザーを巻き込んだ祭りが始まる

ー今回作るくつ下は、どんな人に届いてほしいですか。

まずは、今までパンツを買ってくれた皆さんに届けたいと思っています。やっぱり、最初にファンになってくれた方には一番に届けたいです。

未来のファンにも早く届けたいです。

前回クラウドファンディングしましたが、ブランドとしては盛り上がりはまだまだ十分ではありません。そこに僕たちとしても、すごい危機感を感じています。

1回目のクラウドファンディングのときは、ありがたいことにとても多くの方に支援して頂きましたし、メディアやSNSでも話題にして頂けました。

(1回目のクラウドファンディングは大成功)

しかし、僕たちの至らない部分もあり、だんだんSNSに投稿をしても、のばさん(ONENOVAユーザーの呼称)の方の反応が鈍くなってしまったり、繋がりも作れきれないまま終わってしまって。

今回のクラウドファンディングも正直「透明」というコンセプトをまた出して、飽きられていないか怖い気持ちもあります。それでもやっぱり同じコンセプトでやろうと思ったのは、のばさんの存在です。

ー具体的にはどのようなきっかけがあったのですか?

ポップアップでリアル店舗に売りに行ったときに、人手が足りなくてお客様を対応しきれなくなってしまったときがありました。

そうしたら、たまたま遊びに来ていたのばさんが接客してくれたんですよ。しかも、説明の内容もしっかり合っていて。

これこそ透明にする意味なんじゃないかと感じました。透明にすると全員が同じ情報をもっているので、売る人や買う人といった境界がどんどん無くなっていき、ONENOVAに関わっている人が全員同じストーリーを共有できるようになります。そこには、利害関係とかを越えた関係性がある気がするんです。

(ユーザー会の様子)

もう1つのは、透明にして全部を伝えることで、共感したり、心の拠りどころにしたりできるチャンスを増やせるんじゃないかと考えています。一部の情報しか出していないと、結局その「点」に共感できる人しかファンにはなれません。でも、透明にして情報を「点」ではなく「線」で伝えられれば、その分共感を生む可能性のある範囲も多くなります。そうすることで、より多くの人にとって、自分事として感じれる場所になるんじゃないかと考えています。

だからこそ、これからも逃げずに、透明を貫いていきたいです。そして思わず、「次は何を透明にするの?」とのばさんがワクワクするような事件を起こしていきたいです。

(チームONE NOVAのみんな)

ー今回のクラウドファンディングを通して何を一番達成したいですか。

クラウドファンディングを通して、もう1度のばさんを巻き込んで、ブランドの勢いをつくりたいです。

クラウドファンディングの一緒に作るという性質は、とてもONENOVAと合っています。誰が支援したかも、どのくらいお金が集まっているかも分かるので、「みんなで一緒につくっている」流れをつくりやすいです。まるで「祭り」みたいな雰囲気があるんですよね。その祭りを盛り上げていきたいです。

靴下の次の透明を探して

ー「パンツ、くつ下」ときましたが、次は何でしょうか。

おそらく夏前か夏に、もう1回パンツを発売します。まだ詳しいことは言えないのですが、パンツの素材をウールにフルチェンジします。

今回、くつ下もウールでつくりましたが、今より数倍履き心地がいいパンツができると思います。

履き心地だけでなく、防臭などの性能面もよくなってて、研究所で生地の性能実験をしてもらったところ、匂いも全くしませんでした。とくに特殊な防臭加工はしていませんが、加齢臭や足の匂いのイソ吉草酸(いそきっそうさん) に対する防臭レベルがすべて基準値をはるかに超えて最大に近い数値が出ました。

80点を超えると「消臭効果あります」と表記していいところを、新しいパンツは98点をたたき出す、めちゃくちゃすごい生地ができたんですよ。

まずはくつ下を作って、そのあとパンツを、そしてブラもいま仕込んでいたりします。ただ、透明にして想いを伝えることがメインの目的なので、ゆっくり着実にラインナップは増やしていこうと思っています。

文・写真:ami編集部


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