20191019_Moly河合さん

身近な犯罪はデータ分析で予防できる。「データの相互連携」が防犯のカギ

本記事は、Moly河合さん(@sorai33)のamiライブ配信の書き起こしです。

株式会社Moly CEO 河合 成樹さん

amiファシリテーター佐久間(以下、佐久間)
皆さんこんにちは。

先日、河合さんにライブ配信(10/3)していただきましたが、娘さんが生まれて、娘さんを守りたいという気持ちがきっかけになってMolyという防犯アプリを始めたとお聞きしました。

ちなみに私、息子2人いるんですけど、2人ともやんちゃで別にあんまり守りたいと思わないんですよね。(笑)まあ、そういう話は置いておいて。

初回配信のときに、河合さんが「ライブ参加者のみなさんの質問に答えたい」と仰っていたので、ぜひ今日はライブ参加者の方に色々ご質問いただきたいなと。

質問をみなさんに考えていただく間に、私のほうからMolyというサービスを実際ちょっと使ってみて、こういうとこはどうなの?と思ったところをぜひ河合さんに質問したいと思っています。

河合さん(以下、河合)
佐久間さん、息子さん2人いるとおっしゃってましたが、僕は娘が生まれてからこのサービスが生まれたんですよね。上に8歳の男の子がいますが、勝手に育つと思ったんで、その子が生まれたときは僕も何も思わなくて。

佐久間
なるほど。やっぱり娘さんは違いますか。

河合
娘は全然違いますね。(笑)

佐久間
実際Molyのアプリを使ってみると、位置情報からここでこういう犯罪や被害が起きたということが分かります。今、ライブを配信しているこの場所は、繁華街の渋谷の神南。当然該当する情報がいくつか出てきます。

そこでちょっと思ったのが、これはそこに住んでる人にとっては逆に嫌じゃないかなと。

情報がどんどん溜まって、「この場所に近づいちゃ駄目」みたいになると困る、やめてほしい、みたいな声ってあったりするんですか。

河合
ユーザーからやめてくれって言われることはないんですが、住んでる人としては、自分の家の周りにそういう情報があったら嫌ですよね。

たとえば「大島てる」(事故物件情報サイト)とかって一生残るんですが、5年前とか10年前にそこで何か人が亡くなってたりしたら絶対嫌じゃないですか。なのでMolyではそういう情報が自動的に消えるようにしています。

事件は1年経つと、同じ場所で同様の被害に遭う確率が一気に0に近くなるんですね。なので、そういったロジックから自動的に消すという仕組みにしてます。

佐久間
今、少し難しい、「確率」とか「ロジック」とかのお話が出ました。

河合
はい。

佐久間
Molyが犯罪情報を単に集めて表示するだけじゃない、違う目的を考えているから「確率」や「ロジック」という話が出てくると思うんですけど、そこはどうつながるんですか。

事件が起こるメカニズムを解析し、予防に活かす

河合
サービス上では(犯罪データは時間が経つと)自動的に消える仕組みになってますが、データそのものはどんどん集めていて、公開していないものも含めて全国から集めてきています。

そうすると何ができるのかというと、「次にこの辺りでこういうことが起きそう」とか、「そこから何を気をつけるべきなのか」といった、犯罪や事件のメカニズムを紐解いていくことができるようになります。

佐久間
事件が起こるメカニズムって実際あるんですか。

河合
事件というと、「いきなり悪いやつが来て、いきなり襲われて事件になる」というイメージあると思うんですけど、実際は違います。

犯人がやる気になってないとそもそもできないし、被害者がもちろんそこに対象として存在しないと無理です。さらに、犯人と被害にあいそうな人がいても、その犯人が今ならやれると思うような、そういう状況まで揃っていないと事件は起きない。

さらに細かい要素もありますが、まずはこの大きな要素(犯人、被害者、状況)がメカニズムとしてあります。事件が起きるかどうかっていう仕組みは分かってきているんです。

佐久間
シチュエーションや地域っていう、場所に関する情報があって、それを起点にして、こういう犯罪が起きたから次はこういう犯罪が起こる可能性が高いみたいな情報が分析して出せるということですか。

河合
そうですね。今は僕らは事件の情報をそのものを出すだけのサービスなんですけど、極論いうと、その事件の情報すら必要なくなっていきます。

「この辺でこういうこと起きそうだから、こういうことに気をつけてね」

っていう最終的な情報だけを自動的に届けられるぐらいのユーザー体験にしていきたいですね。

佐久間
過去こういう犯罪があったっていうことではなく、「今、こういう犯罪が起こる可能性が高い地域がここだよ、だから気をつけよう」みたいな。

河合
そうですね。

犯罪データをオープンにする

佐久間
それはめちゃくちゃ知りたいですね。でもそれって、データが大量にないとそもそも分析できないと思うんですけど、そういうデータってオープンになってるものなんですか。

河合
なってるものも当然あるんですが、事件の情報なので、あまりオープンになっていないというのが実際のところですね。

佐久間
あまりないところをMolyはどうやって取ってるんですか。

河合
そこはお願いしてもらいにいくようにしています。ここにみんなの意識の壁があって、もらえないとみんな思ってるんですよ。

佐久間
犯罪情報ってもらえなそうですよね。

河合
普通に行ったら門前払いされますね。(笑)

佐久間
たくさんの門前払いを経験してきたと。

河合
僕も一番最初行ったときは、ほんと完全に門前払いでしたから。なのでいろんなことをやってきました。たとえば、信頼をしてくれる紹介者を経由して話を通すとか。

佐久間
いいですね。完全に泥臭い、起業のリアルの話ですね。

河合
もうスーツ着て、営業しにいくスタイルです。

佐久間
そういう情報を出してもらったり、事業つくるためだったらそういうことをどんどんやると。

河合
そうですね。それは厭う必要はないので。

佐久間
情報を持ってるのは警察になるんですか。

河合
警察もそうですし、自治体からもらってるデータもあります。今後開拓をどんどんしていきたいなと思ってるのは、学校とかもそうですね。

佐久間
学校!

河合
そうです。保護者の人にメールとかでお知らせするシステムがあるように、学校はそういう事件情報を持ってるんですよ。なので可能であればもらいたいですね。

佐久間
そういうデータをオープンにしていくことって圧倒的に社会的な善だという気がするんですけど、それでもなかなか難しい。

河合
被害者を保護するという点でのプライバシーとの兼ね合いもそうだし、風評被害などもあります。実際、公開に対して二の足を踏む組織もありますね。

ただ、逆にいうと、岩手県警とか大阪県警とかはすごい積極的に、どんどん情報を出してくれています。愛知県警も最近積極的です。

佐久間
岩手、大阪、愛知。

河合
はい。その地域はどんどん安全になると思います。(笑)

佐久間
岩手、大阪、愛知はどんどん安全になっていくと。ほかの地域もどんどん安全にしたいですね。

河合
ほかの地域も、やる気のあるところはやっていくと思うんですけどね。

佐久間
犯罪データって、実際名前が紐づいていたりすると出しにくいというのも当然分かります。

ただ、河合さんがおっしゃっていたように、「分析のインプットデータとして使い、今後どういう犯罪が起きるのか予測していく」と言えば、そのまま公開するのではないし、情報を出す側としても出しやすいと思うんです。

予測分析の専門家やインフラ企業との連携

河合
なので、サービスに出すかどうかとは別軸で、国内のそういう予測の第一人者の方とか、産総研っていう国立の研究所のAIのチームと一緒に本格的な予測の仕組みを作っています。

佐久間
専門家の人と提携して、そういう世界の実現を目指していると。

河合
そうですね。

佐久間
逆にいうと、そういう専門家の人たちはデータを集めてくるということに苦労していて、そこで河合さんに感謝して、相互連携が生まれてるという感じなんですか?

河合
みんな、日本ではデータを集められないってあきらめて、海外とかのデータを取りに行っちゃったりするんですよね。

佐久間
日本を良くしたいのにもかかわらず。

河合
はい。僕がそこを突破する役目を持ってやっています。そっちは得意っていうか、それしかできないからやる、みたいな感じですね。

佐久間
さすがですね。突破力の河合さん。質問が来たのでお答えしましょう。

河合
来てるんですね。

佐久間
「犯人は同じエリアに留まるものなんですかね」ってウチダさんのコメントです。

河合
はい。われわれが取り扱ってるような、路上での事件に関していうと、生活圏内での犯行が多いんですね。去年の練馬区では(一人の加害者から)百数十件のひったくりが起きてたんです。

佐久間
そんなに起きるんですね。

河合
犯人が捕まってからはもう、全然起きなくなりました。やっぱり、ある一定の距離の中で起きるんです。ひったくりならひったくりの、犯罪によっていろんな距離があるんですけど、大体は人の行動範囲と同じですね。

警察の捜査とかをドラマとかで見たことがあると思うんですけど、3点を結ぶとこの辺りを中心にして犯人が活動している、みたいなシーンがあるじゃないですか。あれがまさにそういうことですね。

佐久間
ロジックに基づいてるものなんですね。

河合
そうですね。ロジックに基づいて一定の距離の中でどうアプローチしていくか、みたいなのをやってますね。

佐久間
次の質問です。うんちゃんさんからの質問で、「データをもとに行政とか監視カメラ設置するとか、アプリを超えた、実際の場をよくしていくみたいな展開はあるんですか」。

河合
ぜひやっていきたいと思っています。単に予測をしてみんなに気をつけてもらうっていうのは一番最初の、ファーストステップだと思ってるんですよ。

ほんとに大事なことって、実際に犯罪に遭わないようにすること。

だから、行政側と一緒に、そういった犯罪に遭わない仕組みをつくっていきたいですね。たとえ話ですけど、いっそ絶対安全なトンネルをつくってそこをみんなで通るとか、イメージはそんな感じですね。

佐久間
なるほど。面白い。ひろたさんとマッチーさんから、同じような質問なんですけど、「データをもらう上でハードだった出来事を聞きたいです。」

河合
とある警察機関があるんですけど、最初行ったときは、「誰?お前?」みたいな感じで始まりました。ちゃんとスーツ着て、バシッと髪型も決めて行ったんですけどね。

佐久間
そこまでやったにも関わらず。

河合
3時間ぐらい、いろんな部署をたらい回しにされましたね。最後に500枚ぐらいのプリントをバンって出されて、これを1枚20円でコピーして持って帰ってくれみたいに言われました。

それで中を見たら、紙エクセルみたいなのが大量にあるんですよ。これはデータにするのは不可能だと感じて、10枚ぐらいコピーしたところであきらめました。そこからはもう、そういう取り方はやめようと思いましたね。

佐久間
ウチダさんから、「ウェブページに、九州電力さんがパートナーに入っています。これは電力会社さんもデータを持ってるものなんですか、それとも純粋なサポーターなんですか」とコメントが。

河合
そうですね。社会インフラを提供している企業は、町に対してコミットしていて、そこに住む生活者に対して安全になる仕組みを提供していくという考えがあります。

企業としての存在意義も、事業性も感じられて、新しい取り組みを福岡で準備しているというような感じですね。

佐久間
欠かせないインフラですよね。防犯も電力も両方。

河合
特に彼らは、電柱を持ってるんで、たとえば、僕らのアプリと紐づくようになったりすると、いろんなサービスができるようになったりします。

佐久間
電柱とアプリが紐づくと、どういうサービスができるんですか?

河合
たとえば、電柱ってどこにでもあるので、ユーザーがアプリ使ってなくてもそこから出力するイメージです。たとえば、「この辺で事件ありそうだから気をつけてね」って情報をお知らせするだけでもすごいメリットあるじゃないですか。

アプリ持ってない人もいれば、携帯持ってない人もいれば、いろんな生活者の方がいらっしゃるんで、そういったところに最終的にリーチするために、電力会社のそういうアセットを活用するのはすごい重要になってくると思いますね。

佐久間
確かに先ほど、うんちゃんさんが挙げられていた、監視カメラとか、町を安全にしていく仕組みづくりのところで連携の意味がありそうですね。

河合
そうですね。たとえば自治体と一緒に連携を組むとかもやりたいです。

佐久間
めちゃくちゃ面白いな。今やっているメディアにつながる話かもしれないですけど「白書を出してほしいです」というコメントがあります。

河合
ありがとうございます。ちょうどいいタイミングで話をさせていただくんですが、先週、うちのサイトに「女性のための完全防犯マニュアル」という、白書化を目指せるぐらいの読み物を準備させていただきました。

Moly.jpっていうサイトなんですけど、ぜひ、あとでURL貼っとくんで見といてもらえるとうれしいです。

よかったらシェアとかしてもらえたらすごいうれしいですね。

佐久間
いい宣伝できましたね。(笑)

河合
いいタイミングで言っていただきました。

佐久間
「この分野で進んでいるのはアメリカなんでしょうか。ただ、アメリカでそんな安全な肌感はありません」。

というコメントがあります。アメリカが進んでるのかどうかに関する質問でしょうか。

河合
一般的にはアメリカはこういった研究はとても進んでいて、犯罪予測のベンチャーとかもたくさん出てきていて、行政や警察と連携して、防犯サービスを提供してます。

佐久間
アメリカが1つ、ベンチマークになるかもしれないですね。

日本もどんどん行政と企業が連携して、データもオープンにしてそれを分析して、犯罪が少ない、防止できる世の中にしていくために、今、一番困ってることって何ですか。

河合
僕たちのサービスってまだソーシャル連携とか特にそういうのやってないんで、ユーザーの人ともっともっと触れ合う機会をつくって、僕らもユーザーの人の声を直接聞きに行きたいんです。

そういう人たちと一緒になってサービスつくっていきたいなと思うんですが、そういう人に出会うのが僕らとしてはなかなかできてないというか。

今もいろんなとこに連絡してみたり、Twitterで声かけたりとかいろいろやってるんですけど、なかなか繋がらなかったりするんで、そこはぜひもっとやっていきたいなと思ってますね。

佐久間
まさにamiがお手伝いしたいことですね。

河合
amiもユーザーとのそういう繋がりがありますよね。

佐久間
そうですね。今日のライブで少しでもご共感いただいた方、amiのアプリ上のMolyのページに行っていただくと、「サポーターになる」ボタンがあるのでぜひ押していただきたいなと思います。

今日はどうもありがとうございました。

河合
ありがとうございました。

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