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「お金を出してでも分からなさを買う」人と場所の物語が紡ぐアートの価値

本記事は、TAMENTAI GALLERY山本さん(@equem_mm )のamiライブ配信の書き起こしです。

ライブアーカイブ

起業家紹介

アートティストが抱える問題点

amiファシリテーター 町田(以下、町田)
本日はTAMENTAI GALLERYの山本さんにお越しいただきました。

どのような事業をされているか簡単にご説明頂いてもよろしいでしょうか?

TAMENTAI GALLERY 山本さん(以下、山本)
TAMENTAI GALLERYというオンラインギャラリーを運営しています。

ただ絵を通販で売っていても面白くないので、ネットで絵を売るサイトをつくりつつ、同時にオフラインでいろんなアートプロジェクトを企画・実施することで、オフラインのアートプロジェクトから作家に興味を持ってもらい、気に入ったら買ってもらう循環をつくる取り組みをしています。

町田
アートのオンラインショッピングサイトは今もありますが、一番大きな違いはオンラインとオフラインがセットになっていることですか?

山本
オンラインとオフラインがセットになっているのと、作家の作品に加えてその背景にある人柄や世界観も含めて知ることができる点が違いです。

町田
普通に描かれているアーティストの方も、すでに自分の思いを発信しているのではないかと思いますがそうではないのですか?

山本
もちろんセルフブランディングが得意なアーティストの方もいらっしゃいます。

ただ今までは「どういう絵を描いていくか」という指導を受けてきた人たちなので、みんながブランディングやPRが得意かと言うとそうではありません。

とても面白い絵を描く人でも、PRがうまくないために有名になれない人はたくさんいます。そういう方たちの絵を一緒に売るのがコンセプトです。

町田
そもそもアートの業界には、どのような課題があるのかもう少し具体的に伺ってもよろしいですか?

山本
大きなところで言うと、美術館や芸術祭に行く人は数千万人という単位でいる一方で、買うとなると大きく限定されてしまうのが日本の現状です。

買う市場になると急にアートのインサイダーコミュニティの中だけで話が完結してしまっています。

認知の部分でも、美術館で行列ができるほどの人が来場しても、そこに展示される作家さんはもう亡くなってしまった作家さんがほとんどで、若い作家さんの展示は多くの場合、小さな町のギャラリーや貸画廊に限定されてしまっています。

なので、これから芽が出るアーティストの作品を世の中の目に触れる機会が増えることで世の中がちょっと華やかになり、その結果アーティストの作品も売れやすくなるという循環をつくりたいです。

町田
美術館はなぜ今描いている人の作品より昔の作品が多いのですか?

山本
美術館にはアート作品を収蔵するという機能もあります。

美術館自体の収蔵庫にキャパシティがあったり予算の限りもあるため、公立美術館では10年間作品の購入をしていませんという話も聞きます。

また、価値が定まってない作家さんの作品を買うのは、税金など使って買うことの多い美術館の性質上、価格の理由を説明しにくく購買のハードルが高くなっているという背景もあります。

なので、アートにも起業家に対するエンジェル投資のようなものが求められているのかなと思います。

「米作り」の現場で知ったアート業界の問題

町田
もともと山本さんご自身はアートをやっていたのでしょうか?

山本
美術の専門教育は一切受けていません。

大学は文学部で人間と場所と文化の関係について勉強していましたが、熱中するあまり新卒のときに就活ができなかったんですよね。

そんな中で家庭の事情などもあり就職しなくてはいけなくなり、Google検索でいろいろ調べていたら「現代資本社会へのアンチテーゼを現代アートを通じて打ち立てる」と大真面目に言っている財団がありました。

ここなら居場所があるかなと思い、香川県の直島で瀬戸内国際芸術祭を運営している財団に就職したのがアートとの最初の接点になります。

町田
そこではアート事業に関わっていたのですか?

山本
いろいろあり米づくりプロジェクトの担当として、3年間地域で米作りをしていました。

町田
ということは、就職してやったこと自体はアートに直結してなかったということですか?

山本
そうですね。

美術の仕事をしている人が米作りを手伝いに来てくださるときに、すごく開放的な場所での作業ということもあり、皆さんの思いや愚痴とかを話してくれるんですよね。そうやって諸先輩方から芸術界の問題点を聞くなかで、「難しい業界なんだな」とずっと思っていました。

町田
具体的にどういう愚痴が多いですか?

山本
アート関係の仕事は儲かりにくい市場なので、自治体や財団が運営しているところが多く、予算もそこまで大きくありません。そういう環境に人手不足が相まって、こだわってつくりたいけど労働環境もかなり厳しいという状況があります。

その結果、やりがい搾取のような環境になってしまっています。

町田
そういう現場の声を知れたのが大きな原体験ということですね。

山本
あとは直島では、美術館やギャラリーのようなホワイトキューブと言われる白い壁に作品を展示するものではなく、作品が最も映える場所に展示したり、作品のために美術館をつくるという考え方でやっていたところにとても共感しました。

なので、「ギャラリーじゃないところでも展示したらいいよね」といういまの構想のきっかけもその部分に影響されました。

自由に作品に対して好きや嫌いが発信できる場がない

町田
その作品にあった環境で展示することの、どこに共感を覚えたのですか?

山本
やっぱり見え方が全然違うんですよね。

たとえば、美術館でモネ展があって100点ぐらい作品が並んでいても、記憶に残っていない作品もたくさんありませんか?

しかしアート作品を見るために山道登っていったとなると思い出に残りやすいと思いますね。

つまり作品を見るだけではなく、そこに付随したストーリーもあるという部分に共感しました。

町田
今のサービスの作品のストーリーを載せる試みもそれが理由だったのですね。

山本
そうですね。あとは作家さんの話聞いていると単純に面白いんですよね。

「画についてそんなこと考えていたんですか!?」といった作家の方の話を聞いて作品を見るとやっぱり全然見え方違うので、多くの人がそういう経験をせずに作品を見ているのはもったいないなと思っています。

町田
多くの場合アート作品を話といっても、評論家の意見などが多いですよね。

山本
アートは自由に鑑賞していいんだよと言われる一方で、小難しい解説や偉そうな人のコメントしかのっていないことが多いです。見ている人の多くもコメント聞いていて分かるような分からないようなという感覚があるんじゃないでしょうか。

実は自由に作品に対して好きや嫌いが発信できる場が少ないのかなと思っています。

資産としてのアートと考えると、「美術史上の考え方をこの作品は変えたきっかけとなった」という話は重要な要素になってきます。

しかし見る人にとっては、資産として100億円の絵だとしても、必ず100万人に感動を与えられるという話でもありません。

資産価値の有無にかかわらず、どの画でも共感や感動を与えるポテンシャルがあると思うので、その部分をもっと明確化していきたいです。

町田
つまり、見た個人個人が「この絵いいな」と共感できる機会を増やしていきたいということですか?

山本
好き嫌いは100人100通りだと思うので、これからどんどん作品のレパートリーを増やしていきたいです。

それこそ来週、広島のco-ba hiroshimaというスペースを借りて、油絵も書道も関係なく全然違うレパートリーの作家さん7人の作品を、一緒に展示する機会をつくったりもしています。(※現在は終了しています。)

「Live with Art」に込めた二面性

町田
少し話を変えるのですが、山本さんのミッションを伺ってもよろしいですか?

山本
事業のミッションとしては、「Live with Art」と言っています。

意味は2つあって、1つはアートのある暮らしという意味で、もう1つは「Make living with」というアーティストが生計を立てられるようにという意味を込めています。

さらにその先のミッションとしては、分からなさを楽しむということを考えています。

アートってよく分からないじゃないですか。ただ現在において、よく分からないことはマイナスの価値のように言われがちです。

なので、分からなくていいよねという価値観をもっと普通のことにできたらいいなと思っています。お金を出してでも分からなさを買うって素敵だと思うんですよね(笑)

すみません。いきなりぶっ飛んだことを言って。

町田
分からないものをどうやって楽しめばいいんでしょうか。

山本
分からなさって日々変わっていくんだと思うんですよね。今日の分からないと明日の分からないは違います。

そういう心の機微とか、ハッとするとかの感覚が楽しいと思うんです。

美術館に飾ってあるだけでは、「あ、絵があるな。あ、モネの絵だな」で終わるところが、家にあると「今日は違うモネだな」と感じることがあるのは、やっぱりアートを買ったり、ともに暮らすことの意味かなと思っています。

物自体は変わらないはずなのに、なぜか違って見えるみたいな感覚の不思議さは、今の世の中に必要だと思います。(笑)

町田
そういう機会を増やすためにも、まずはアートから取り組まれたということですね。

ということで、まだまだお話を伺いたいところですが、1回目はこのあたりで終わらせていただきます。

2回目の配信では一緒に活動をされている方とご出演いただけるということで、もう少し具体的にサービスの部分についてお話を伺えたらと思っております。

第1回目の配信でしたがやってみていかがでしたか?

山本
途中からテンション高めのモードが出てしまって申し訳ないんですけど。(笑)

楽しく配信させていただきました。ありがとうございました。

町田
それではありがとうございました。

山本
ありがとうございました。



嬉しいグォー!これからも応援よろしくグォ!
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ami

起業家と未来の仲間をつなげる「ami」の公式noteです。 https://ami.live

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