「起業家も弱くていい」”カッコよくない”自分を知りオープンにすることの意味

本記事は、cotree櫻本さん(@marisakura )、D4V伊藤さん(@itokenv)のamiライブ配信の書き起こしです。

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起業家紹介

左:株式会社cotree CEO 櫻本 真理さん
右:D4V合同会社 COO 伊藤 健吾さん

起業家特化のメンタルサービスの秘密

amiファシリテーター 松岡(以下、松岡)
本日は、escortの櫻本さんとD4Vの伊藤さんにお越しいただきました。

それでは、まず櫻本さんが今運営されているescortが、どのようなサービスか簡単にご説明いただいてもよろしいでしょうか?

cotree 櫻本さん(以下、櫻本)
escortは、11月に正式リリースをした「起業家向けのメンタルサポートサービス」で、メンタルの問題が起こる前や、起こったときにコーチングなどの支援を専門家から受けられます

起業家の方に無料で使っていただくために、運営にかかるコストをVCさんや起業家を支援したいと思っていらっしゃる皆さんにスポンサーとして支援頂いております。

すでに100人以上の方に利用していただいており、今年中に500名程度の起業家さんをサポートしていく予定です。

松岡
ありがとうございます。

リリースされてから100人以上に方とお話をして仮説検証をされたと思いますが、結果はいかがでしたか?

櫻本
サービスの申し込みを開始した後、想像以上にたくさん方からお申し込みいただいたので、現在はサポートしていただいているVCさんの支援先の方から優先的にご案内をさせていただいている状況です。

多くの方は、メンタルの問題を抱えているというよりは、メンタルの問題を抱えるのを予防するために使っていただいています。

なので、現時点でお申込み頂いている方のなかで、メンタルの問題を抱えていらっしゃる方はごく一部です。

とはいえ、メンタルに不安を抱えたり、気分の波を感じていらっしゃる方は多いですし、「こんな話誰にもしたことなかった」と言っていいただけることが多いので、やり始めてよかったなと思っています。

VCが使わない理由はない

松岡
伊藤さんはescortを支援されていますが、どういうきっかけでescortを支援されたのですか?

D4V 伊藤さん(以下、伊藤)
僕はD4VとGenuine Startupsという2つベンチャーキャピタルをやっていますが、それらの投資先の起業家にescortを提供したいと思ったので、支援させていただいています。

松岡
これまでVCとしていろいろな起業家さんに出会ってきた中で、メンタルの悩みを抱えていらっしゃった方は多かったですか?

伊藤
悩んでいる方はいると思いますが、なかなか抱えていることを人に言えない方も多いです。

僕が気付く場合もありますが、僕たちもメンタルの専門家ではないので、対応するといっても限定的なことしかできませんでした

そこで、そういったメンタル領域に特化したサービスがあるのなら、使いたいと思っていたので支援させていただきました。

そもそも、使わない理由があまりないと思っています。

弱音を吐ける環境にこそ価値がある

松岡
伊藤さんから櫻本さんに対して、「こういうのがあったほうがいい」といった話はされているんですか?

櫻本
今まで「投資側としてどんな事例があり、どのようにサポートしてきたのか」を伺いながら、「われわれ専門家がやるべきことは何なのか?」を改めて再確認するきっかけをいただいています。

イトケン(伊藤)さんのような投資家さんや支援者さんが、「メンタルの問題で悩んだら、こういうサービスがあるから使って」と言えることが、起業家さんにとってメンタル問題のSOSを出すハードルを大きく下げると思っています。

メンタル問題でもっとも課題になるのは、「自分が弱いと思われたくないから、助けてと言いづらい」というのがあります。

しかも、起業家さんは強くあらねばならないという想いが強いので、投資家さんに対しても「弱音を吐けない」というケースが多いです。

なので、投資家さんから「弱くてもいい、そういうときもあるよね」と言ってもらうだけで楽になるケースもありますし、そういうメッセージを発信していただくこと自体に、とても価値があると思っています。

松岡
「今までメンタル関係で投資先に起業家さんでこういう具体例があって、こういうアドバイスをした」という体験談はありますか?

伊藤
お金を出してもらっている相手に、「うまくいっていない」と起業家は言いづらいのかなと感じる場面はあります。

投資側からすれば応援しているわけなので、うまくいっていない時は相談に来て欲しいと思いますが、起業家からしたらお金を出してもらっている相手なのでなかなか相談できないという現実があります。

ベンチャーキャピタルとして活動していると、その部分に難しさを感じる場面は多々あります。

投資家と起業家は敵対しているわけではなく同じ船に乗っているにも関わらず、起業家からすると「ビジネスや自分がやっていることで投資のリターンを返さなきゃいけない」という部分にフォーカスしているので、苦しいと思っていてもそのことを投資家に素直に言えない場面がすごく多いです。

松岡
「カッコいいところしか見せちゃいけないんじゃないか」と思い、プレッシャーに感じてしまっているということですよね。

伊藤
全ての投資先の企業が次のステージに進むわけではないですが、次の投資家が決まってより大きな金額が入ってきて起業家のプレッシャーが高まっていく中では、シード投資家は初期に投資して付き合いも長くなるので起業家にとって相談しやすい相手であるべきだなと思っているんですよね。

そして相談のしやすさをつくるという部分でメンタルに限って言えば、僕らで解決を目指すよりも専門家に頼ったほうがいいなと思っています。

専門家でない僕たちでは、相手がメンタル的な問題を抱えていることに気付いていてもどうやって正しく伝えるべきかがわからず、「メンタルの相談に行ったほうがいいよね」というようなことを直接的に指摘して逆効果になる可能性もあります。

松岡
もともとどういう出会いで支援することになったのですか?

櫻本
escortはCAMPFIREやNOWの代表である家入さんと、一緒に立ち上げた取り組みですが、家入さんのご縁で伊藤さんとお話する機会があり、「ぜひescortについてご紹介させてください」と言ったら、「やらない理由がない」という感じですぐにご快諾いただけたという経緯です。

松岡
投資家目線として、なぜ今までescortのようなサービスが出てこなかったんだと思われますか?

伊藤
投資家目線と言われると難しいですが。(笑)

たぶん儲からなかったりスケールが難しいと感じるので、お預かりしたお金を増やすことを生業としているベンチャーキャピタルにとって投資が難しいと感じる領域です。そういった背景もあり、誰もチャレンジしていなかったのかもしれません。

今回は、ベンチャーキャピタルの管理報酬として自分たちでマネージできる範囲内の金額設定なので、スポンサーに非常になりやすい仕組みだと思います。

なので、最初のリリースを見たときからいいなと思っていました。

櫻本
うれしいです!(笑)

伊藤
家入さんとも仲が長いので、彼がどういう課題感を持ってこれをやろうとしているのかを理解できていたこと支援に至った理由です。

ここから先、課題はあると思いますが、起業家の数も増えていますし、専門家に相談することが一般的になってくれば、ビジネスとしてスケールも目指せるかもしれないと思います。

ベンチャーキャピタルはお金でお金を増やす仕事をしているので、どうしてもビジネスに対してスケールしろと言ってしまいますが、スケールしない仕事は必要ないのかと言うと、そういうわけじゃないと思うので、ベンチャーキャピタルとしても何かしたいと思っています。

そのために、escortのようなサービスを支援したりしていますし、支援しているのは僕たちだけではないので、他の投資サイドの方もみな同じ思いがあるんじゃないでしょうか。

「もうすでに達成感があります」

松岡
リリースして4カ月ほど経ちましたが、そのなかで明確になってきた課題はありますか?

櫻本
これだけコーチングのニーズがあることが、社会に知られことはとても大事なことだと思っています。

実際に、申し込みもたくさんありましたし、いろいろなメディアの方から発信する機会をいただいたことで、社会からも共感してもらえている感じはあります。

また、われわれの発信をきっかけに、起業家さん自身が「実は自分もこういう時期があって」というようなブログを書かれたり、発信されることが増えてきました。

以前でしたら、起業家がメンタルや自分の弱さについて開示する機会は少なかったと思いますが、そういった発信が増えてきたことは、社会全体の空気を変えていく上で重要だと思っています。

起業家向けのメンタルケア領域で「何かやりたいです」と相談を受けることも増えきているので、問題意識を持った方が増えたというのが、この取り組みの一番のアウトプットだったんじゃないかなと思います。

この領域の解決方法はたくさんあるので、われわれが大きくなることが唯一のソリューションではなく、われわれの取り組みをきっかけにいろいろな方が活動を始めたり、発信を始めたりしてくださることのほうが重要かと思っています。

松岡
セーフティネットとして啓蒙活動の一番大きな部分を担うことはできたので、まずは1つ大きな成功を達成できたということですか?

櫻本
そうですね。もうすでに達成感があります。(笑)

伊藤
たしかに。前はメンタルの話は全然、表に出てこなかったですよね。

実際に起業家同士で会えばそういった話をしたりしますが、文章や書き物といった人の目に触れるかたちで残るものはほとんどありませんでした。それがだいぶ表に出てくるようになったように感じます。

だからこそ、さっきVC目線でescortのようなサービスは「スケールしない」と言ってしまいましたが、これから伸びる可能性はあると思います。

松岡
起業家だけでなく、後からジョインしてきたCxOクラスの人や、中間管理職の方も似たような問題を抱えがちかと思うのですが、そこはいかがですか?

櫻本
おっしゃる通りで、起業家のメンタルヘルスと言っても「自分が病んでしまうケース」と「周囲が病んでしまうケース」があり、その両方のケースで代表者はできることがあると思います。

「自分を責める」か「人を責める」かが違うだけなので、代表者が自分自身の感情やメンタルの状態、他者との関わりをコントロールできるようになることはとても重要なことです。

自分が会社を立ち上げた後、周囲に立て続けに鬱の人が出てしまって、自分に何か取り組むべき課題があるかもしれないと自覚される起業家さんも多いです。

そういうケースでも、「何がきっかけで関係性が崩れているんでしょうね」という話を一緒にさせていただくことで、課題についての理解が深まります。

それからもちろん、病んでしまった役員さんや、中間管理職の皆さんに対しても、われわれとしてはいずれサービスを提供していきたいと思っています。

松岡
やはり経営間のごたごたというのはよくありますか?

伊藤
しょっちゅうありますね。(笑)

それがメンタルに影響する話までいくかどうかは別として、その一歩手前の辞めちゃうとかはよくあります。

櫻本
そうですね。なので、人間関係の問題についてコーチングさせていただくことは多いです。

「どういう人とどういう人がいて、ここの関係性で何が起こっているんでしょうね」というのを理解して、それに対して「どう行動を取ったらここの関係性が改善するんでしょうね」というコミュニケーションをコーチングでは起業家に対して行います。

結局起業家が悩むポイントは、人間関係かお金の問題になってくるので、お金の問題は専門であるVCさんに任せて、今まであまり扱われてこなかった人間関係の問題をしっかりescortでは扱っていきたいと思います。

自己開示は成長のカギ

松岡
「強みの開示と共有がメンタルのキーという気がしますがどう思いますか?」という質問がきていますが、どのように考えられていますか?

櫻本
escortのコーチングの中では自己理解を一番大切にしています。

自分の強みや、弱みをしっかり理解した上で、それを生かすような行動を取れるようになることがコーチングの基本的な流れです、おっしゃられる通り、自己開示はとても重要な点だと思います。

その上で問題なのは、自分で強みや弱みを理解したとして、それを自己開示できるかどうかということです。

自己開示を苦手としている人もいらっしゃるので、そういう方には「そこに抵抗感を持っているのはなぜなのか」という話し合いをすることもあります。

松岡
自分に対する主観的な自己理解と客観的な自己理解が異なっている場合も多いですか?

櫻本
自己理解をする際に、自己を客観的に見るための切り口を知らないという場合は多いですね。

なので、「自分はどんな場面でやる気が出るんだろう」、「どんなスイッチを押したら頑張れるんだろう」、「何がストレス源なんだろう」といったことをコーチングを通して理解することで、やる気やストレスをコントロールできるようになります。

自己理解をすることで、「こういうストレスは避けよう」、「こういうことをすればやる気が出るからやってみよう」といったことが分かるようになり、自分自身の感情や行動をより精度良く扱えるようになるのが、メンタルサポートの一番の意義かなと思います。

松岡
先ほどもおっしゃられていた、「自己開示が苦手な起業家さん」に対してはどのようにコーチングされるのですか?

櫻本
「弱さを開示できていないことによってどんな問題が起きているのか」にフォーカスしていくことが多いですね。

「自己開示するのとしないのとでは、どちらがいいでしょう」と問いかけることもありますし、「そもそもどうして弱みを自己開示することが恥ずかしいと思っているのか」と問いかけて、その人が持つ自己開示に対する抵抗感を取り払うようにしています。

伊藤
起業家は、ダメなところを見せたくないというよりは、いいカッコしたいという気持ちのほうが強いんじゃないですかね。

だから、うまくいっていないことや、悩んでいることをきちんと伝えられなかったりする気がします。

でも、長年投資して分かったことは、「自己開示をできるようになると、事業もうまくいきやすい」ということです。

投資先で最近の成長スピードが上がっている企業の理由を考えると、その投資先では投資当初はなかったことですが、例えば「アドバイスをもらっても全然言うこと聞かなかったのがよくなかったです。」といった失敗なども含めて投資家に対して開示ができるようになっていて、アドバイスをうまく求められるようになってから、事業もうまくいき始めてるんですよね。

松岡
シリーズが上がったり、イグジットを経験することで自己開示のレベルが上がることは多いですか?もしくは、あまり連動はしないものですか?

伊藤
どうなんだろう…、そういう視点でいままで見たことがなかったです。

でも、「頼ることがうまい人」のほうが成長のスピードは速い気がします。

しんどい時にどんどん相談してきた企業の方が、先にステージを上がっていった感じはあります。

それは「人に頼る」ことによって、次に進むための方法を早く見つけたからだと思います。

松岡
最後に、伊藤さんが考える、escortが今後なっていって欲しい姿はありますか?

伊藤
まず僕が実際にコーチングを経験してみることが大事だと思っています。

櫻本さんと、投資先に「escortを使ってみてよ!」と投資家が言いやすくなる仕組みが必要という話をしているうちに、まずは自分がやってみればいいんじゃない?という話になりました。

櫻本
そうですね。やっぱり「コーチングってなんだろう?アセスメントってなんだろう?」といったコーチングに対する分かりづらさはあると思います。

よく分からないものに対して取り組んでいただくことは難しいと思うので、支援先の方や起業家の方など、いろいろな方に実際に体験していただきながら、サービスを広げていきたいと思っているところです。

伊藤
「起業家はなかなかコーチングに行きにくいよね」という話をする前に、支援者側も、まずは「自分自身もメンタル的に抱えていることがあるのか、ないか」を体験することが重要ですし、その体験をすれば人に伝えやすくなるんじゃないかと思っています。

櫻本
今いろんな人にこの課題を知って、メンタルサポートを体験していただきたいと思っているので、興味のある方はぜひ使ってみてください。

松岡
ありがとうございます。今回ご出演いただいて伊藤さんいかがでしたか?

伊藤
いや…、緊張しますね。(笑)

松岡
(笑)けっこう緊張されていましたよね。

貴重なご体験に基づくお話をありがとうございました。

櫻本さんはいかがでしたか?

櫻本
amiがだんだんよくなっているなと思いました。(笑)

あとは、こうやって発信の機会をいただけて本当にありがたいです。

松岡
ありがとうございました。

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ami

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