おだしの社長に「食のアート化」を聞いてみた。聞き手も静かになる奥深い世界

この記事は、oh! dashi竹村さん(@kenttto)のamiライブ配信の書き起こしです。

株式会社椎茸祭 代表取締役 竹村 賢人さん

amiファシリテーター佐久間(以下、佐久間)
次は、椎茸祭の竹村さんにお話いただきます。

竹村さん、来ちゃいましたね。

椎茸祭竹村さん(以下、竹村)
こんにちは。

佐久間
前回、竹村さんがライブ配信でお話しているときに、私はその後ろでカメラをいじっていたりとか裏方でやっていたんですけど、5回ぐらい吹き出して、「ヤバい、音声に混じったらどうしよう」という面白さでした。

竹村
ありがとうございます。

佐久間
今日もひたすら竹村さんに、怒涛の如くおしゃべりタイムにしてほしい。(笑)

「食のアート化」ということをキーワードにお話なさりたいと聞いていましたが、ほとんど理解できていない。

竹村
「椎茸祭」という、おだしを作っている会社を立ち上げた竹村と申します。

「食のアート化」なんですけど、建物、アート、洋服も、1億円のものっておそらくあるじゃないですか。

佐久間
そうですね。

竹村
でも、1億円の、1つのご飯ってないですよね?

佐久間
聞いたことないですね。

竹村
もちろん、100円のポテトチップスでもたくさんあれば1億になるんですけど、アート的な文脈で、「これしかないのに1億円」ということ。

佐久間
たとえば、前澤さんが月に行くじゃないですか。あれって1億円どころじゃないですからね。

体験価値にも1億円以上のものがあるのに、食はついてないということですね。

食にアート的な価値が生まれないのは?

竹村
そうなんですよ。

たとえば、マルセル・デュシャンが便器にサインを書いて、それが1億円を余裕で超えるじゃないですか。

でも、アートの文脈でいうと、別に便器に価値があるわけでもないし、デュシャンのサインそのものに1億があるというわけでもない。

コンテキストにおいて、これを投じるということによって、あれは価値を成立させていると僕は思っていて。

なんで食にはそれができてないのかと思うんですよ。ものすごく値段の高い食って何かあります?

※本文中の写真は、amiライブ画面のキャプチャーです

佐久間
少なくとも1億円は聞いたことないですね。

竹村
もちろん、「食べてなくなるから」とか、いろいろ考え方はあるんですけど、なんでなんだろうなってずっと思っていて。

飲食物でいうと、1杯300万円のお茶があるらしいんですよ。

それって「すごい山奥で、仙人のような人が何百年の歴史でつくりました」という、過去形の情報によって値段が高いという話じゃないですか。

たいがいミシュラン何とか星ですとか、何とか賞を獲りましたとか、過去形の実績を足し算していってつくっていく価値が近いなと思うんですよ。

佐久間
資産的な何か。

竹村
そうですね。これって、クラフトマンシップに近いと思ってます。

「すごくきれいに手縫いをして、材料も最高だから、高級です」みたいに、価値観が20世紀からあまり動いていないじゃないかなって思ったんですよ。

だけど、僕の認識では、現代アートって未来形の価値観で買われる。

たとえば、「この木を買うことによって、世界に対してこんなことをもたらします」というコンテキストがあるから、100億円を投じることに意味がある、みたいな現代アートのありかたが可能だと思うんですよ。

どうしてそれが、食でできていないんだろう?

佐久間
なぜですか?

竹村
そもそも、アートになぜ価値があるのかの話に戻っていくと、アートって「役に立たない」じゃないですか。

役に立たなくて、かつ、交換価値が生まれるから、僕は価値が成立しているんだなと思っています。

たとえば、シュレッダーにかけられたバンクシーの絵画がありますが、50年後にその出来事をみんなが忘れてたら、価値あるのかなって思ってしまうんですよ。

むしろ、買ったということ自体がイケてるじゃないですか。

「交換価値」よりも「投じた」ということのアクションで歴史に名を刻んだことの方が、価値があるんじゃないかと思います。

食がアート化していかない理由というのは、僕の中ではモヤモヤしているんですけど、「文脈を持って食べる」ことがないと思ったんですよ。

佐久間
「お腹が空いた」からじゃなくて、自己表現としての食。

竹村
たとえば、お弁当を食べるじゃないですか。お店から買ったお弁当を毎日食べることによって、世の中に対してプラスになることは基本的にないと思うんですよ。

佐久間
経済活動の一環で、ぐらいですよね。

竹村
食べることによってすごく救われる人がいるとか、生物が救われるとか、CSR的な意味があったとしても、「食べる」ということが未来に対する情報と紐づいていないなと思ったんですよ。

「一流の○○」とか、そういう情報ばかりで、「食事によって未来に対して意味をもたらします」という位置づけにきてないなと。だから、食の分野というものがもう少しアート化していったらいいなと思っています。

もう1つ、アンディ・ウォーホルについて話したいんですが、彼が「キャンベルのスープ缶を大量生産するということもアートだ」という考えを成立させたのは、食事によってではなくて、絵画によってじゃないですか。

絵画によって、大量生産という概念をアートにしただけであって、キャンベルのスープ缶そのものはアート化されなかったじゃないですか。キャンベルのスープ缶が、その後1億円の価値をつけることにはならなかった。

佐久間
大量生産ですからね。

竹村
大量生産で、同じ価格のままだった気するんですよ。

けど、本当はあのときに僕がキャンベル社の社員だったら、そこに迫る何かがつくれたんじゃないかなってちょっと思っています。

佐久間
面白い。どういうこと?

竹村
つまり彼は、大量生産品でもアートとして成り立つということで、絵画に落とし込んだわけですよね。

そのときは交換価値がなかったから、絵画としての価値しか出なかったかもしれないですけども、キャンベルのスープ缶も150円である必然性は本当はなかったんじゃないかなと。

同じキャンベルのスープ缶でも、そこにアート性を持った1品があれば、1億円の価値をつけた可能性があったんじゃないかなと僕は思っているんですよ。

佐久間
キャンベルのスープ缶も、アートなものとして、初期ロットがたくさん展示されているじゃないですか。

そういうことではなく、大量生産されていてもアート性を持つということ?

竹村
大量生産されていたとしても、そのうちの1つ、シンボリックなものをその中から1個つくってあげれば、それがアート化されるんじゃないかなと思っていて。

「このキャンベルのスープ缶1個だけ1億円です」「それを食べれます」というシチュエーションにおいては、成立するんじゃないかなと思っていて。

役立たない物に対してアートのメッセージを付けて1億円にできないのかという考えですね。

佐久間
食でアートを表現している人はたくさんいる気がしますが、「アートの文脈で食を捉える」ではなく、「食の文脈でアートを捉える」ということでしょうか?

竹村
そうですね。

佐久間
体験自体を流通可能にして、それを体験する人が誰であっても、分離された体験がアートになるということですかね。

竹村
そちら側に、アート性があると思うんです。

佐久間
そこに興味を持った理由はあるんですか?

コンセプチュアルイーティングとは

竹村
コンセプチュアルイーティングという言葉がありまして。

佐久間
また、難しいことを言いますね。(笑)

竹村
僕が言っている「食のアート化」は、現代アート的に概念を消費し、投資することです。

その概念というものを乗せることによって、食がアップデートされていく可能性があるなと思っているんです。

シェフの人がどんどんアーティストとして出てくる一方、メーカーはアーティストになれていないなと思ったんですよ。

「本当は僕らってアーティストじゃないんだっけ」「大量生産しているけど、これも表現じゃないんだっけ?」と、たくさんつくっているものでもアートにできないのかなと思ったんですよね。

佐久間
できるんじゃないですか?(笑)

竹村
できる気がするんですよね。

だって、今、流行っている昆虫食も、虫が超うまいから食っているんじゃなくて、基本的にはそれによって未来にとってプラスだと考えるから食べていくわけじゃないですか。

食そのものに情報が乗って、その情報の向き先が未来に向いているというのが、今後の時代の潮流になっていくんじゃないかな。

佐久間
ちょっとまとまらない気がしてきたけど、まとめたいと思います。

竹村
そうですね、僕の疑問を話しているので。(笑)

佐久間
昆虫食がコンセプチュアルイーティングとしてアートの文脈で捉えられるんだったら、まさに椎茸祭のだしを食べるということも、あえてコーヒーを選ばないでこっちを買うとか、コンセプチュアルイーティングになるんじゃないですか?

竹村
そうなんですよね。そっちに持っていきたいと思っていて。

佐久間
面白いですね。

竹村
習慣として食べていくものでも、世の中にとってプラスになっているって分かることって僕、けっこう大事だと思っていて。

何かやらないといけないみたいなことじゃなくて、習慣に取り入れるだけで世の中の誰かが助かっているって幸せだなと思ったんですよ。

「何か成す」「何かやらなきゃ」というよりも、もっと緩やかな投資をできないのかなというイメージですね。

佐久間
自然な生活のスタイルの選択自体がそういうものにつながっている。めっちゃいい話じゃないですか。(笑)

竹村
めっちゃいい話ですね。1億円の話からはちょっと出ますが、概念投資というのはそういうイメージでした。

佐久間
「佐久間さん、困惑してそう」って、そういうメッセージがたくさんありますね。はい、困惑しました。(笑)

竹村
好きな話をしてきました。ぜひ、ご意見を聞きたいですね。

佐久間
また次のタイミングで、全く違う切り口の話をお伺いしたいと思います。

過去の記事はこちら


嬉しいグォー!これからも応援よろしくグォ!
4

ami

起業家と未来の仲間をつなげる「ami」の公式noteです。 https://ami.live

amiライブ note

「起業家とサポーターがつながるライブアプリami」のライブ配信の様子を書き起こし、編集してお届けします。
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。