当事者目線だから作れたコミュニティ。うつ病患者の「家族」のケアにフォーカスした理由とは?

本記事は、encourage林さん(@Hayashingo7)のamiライブ配信の書き起こしです。

株式会社ベータトリップ 代表取締役 林 晋吾さん

amiファシリテーター町田(以下、町田)
ベータトリップの林さんに配信していただきます。こんにちは。

ベータトリップ林さん(以下、林)
こんにちは。林です。よろしくお願いします。

町田
それではまず、林さんが今、どんなことをやっているのか説明していただきたいと思います。


うつ病を患った方のご家族向けのコミュニティサイト「encourage」の運営をしています。

Webのアプリケーションを使ってオンライン上でご家族同士が悩み相談をし合ったり、医師やカウンセラーなど専門家からアドバイスを得ることができます。

町田
どういうきっかけでサービスを始めようと思ったんですか?

患者の「家族」のケアの重要性


大学を卒業後、金融の会社に勤めていて、そのあと、経営コンサルティングの仕事をしたんですけど、そのときに自分がパニック障害とうつ病になったということが1つのきっかけです。

そのあとも再発をして復帰することが難しいという経験があって、そこが大きなきっかけだと思っています。

あとは、自分は病気の治療をしているときは1人暮らしだったんですけど、同じようなうつを経験した人たちに話を聞いていると、家族の理解やサポートが重要になると思うようになり、「ご家族向け」のサービスを考えるようになったのがきっかけですね。

町田
患者の方自身にフォーカスしているほかのサービスもある中で、林さんのサービスは家族向けにフォーカスしていますね。


患者さん向けの情報もまだまだ改善の余地があると思いますが、患者さん自身が相談できる窓口というのはありますよね。

一方、ご家族の悩みをそのまま聞いてもらえる場所だったり、もしくは、ご家族自身を課題に直面している人だと捉え、必要なサポートや情報を提供してくれる場所が不足していると思います。

そうした「ご家族自身の課題」に応えていくということをメインにサービスをつくりたいなと考え、サービスをはじめました。

町田
始める前の仮説と違っていた部分はあったんでしょうか?


1つは情報についてですね。

もちろん、正しい専門的な情報が必要とされていると思いますが、実際はご家族同士のつながりだったり、境遇が近い人たちとつながって、家族の視点での情報交換ができる、といったところがすごく求められているのかなと思いますね。

また、患者さんのご家族が、専門家の人や相談窓口に出向いて話を聞こうとしても、まず何を聞けばいいのか整理するのにすごく負担があると感じています。

まずは気持ちの部分、「こういうことがつらい」「こういうことで困っている」といったことを自由にコミュニケーションできることの重要性は、実際にサービスをスタートしてから感じました。

町田
amiペンギンから、「ご家族の人も一緒にうつ病になってしまうことも多いグォ」とコメントが来ているんですが、これについてはいかがでしょうか?


実際に、ご家族自身が一緒に暮らしている中でなかなかうまくサポートしていても状態がよくならないとか、ご家族自身が不調になってお薬をもらいに通院をしたり、カウンセリングを受けられているということは一定数あると思っています。

町田
金融という業界から、うつ病患者向けのコミュニティサイトという全然畑が違うところに挑戦してみて、大変だったことは何かありますか?


何が大変だったかな…。ほぼ全てが初めてだったので、取り立ててこれが難しいというよりはみんな難しいという感じですね。

その中でも、言葉にならないようなご家族自身の課題をちゃんと認識して理解をしながら、サービスに落とし込んでいくことがすごく難しいですね。

「こういう機能をつけてほしい」というご意見に応えていくことも大事だと思いつつ、言葉にならない思いも持っていらっしゃると思うので、そこを運営者としてちゃんと吸収をしてサービスに実装させていくところは試行錯誤しています。

町田
やっていること全て難しいというお話でしたが、そういうところはあまり苦痛に感じないタイプなんでしょうか?


どちらかというと、人よりは新しいことを始めるところのハードルは高くて、行動を起こすのが遅かったり、慎重に考えるほうだなと思っています。

ただ、自分でサービスをやっていると、ダイレクトにいろんな反応が返ってきたりするので、そこはすごくやりがいがあるかなと思っています。

起業して分かったこと

町田
実際に起業されるときは、躊躇はなかったんですか?


設立したのは2015年の12月なんですけど、意外と会社をつくる決断をするときは迷いはなくて、自然と自分でやってみようかなと思えましたね。

後先のことを考えるというよりは、「まずはやるんだ」「この課題に対して自分がやらないと、自分以外にやる人がいるのか」という想いで始めましたね。

町田
起業に対するハードルはあまり高く感じなかったんですね。


そうですね。正直、その時期ももう本当に体調の波が激しかったりしていて、後先のことを考えてというより、目の前にあることをやるしかなかったという感じだったので。

あとは、起業してからも一定期間はほかの企業にも在籍しながら働いていたので、そこは少し身軽でやりやすい部分だったかなと思っています。

町田
起業されて、よかったなと思う部分はありますか?


ユーザーさんからのフィードバックで「こういうほかの方とこういう出会いができてよかった」といった声をいただけるのが一番うれしいですね。

あとは、さきほどの話と重複しますが、自分がやったことがどういう効果が出ているかを見ながら適宜自分の行動を変えていけるところはすごくやりがいがあるかなと思っています。

町田
いろいろな場面で決断を迫られる部分もあると思うんですけど、そこについては慣れてきましたか?


気づいたのは、たとえば2週間悩んで結論を出したところで、それが2週間前に結論を出した場合と行動が大きく変わるかというと、ほぼ変わらないなということですね。

今でも先送りしちゃうことがあるんですけど、「こういう依頼をこういう人にしてみよう、でも…」と考えても、2週間経ったからといってその人と距離が縮まるかといったら縮まらないし、自分がアポを取るのに有利な条件が整うかといったらたぶん整わないと思うので。

結局は自分の気持ちの問題かなと思っていて、なるべく早くそこをクリアにしたいなと考えています。

町田
話は変わるんですけど、業界が今までと全く違ったという部分で、仲間集めに苦労はされませんでしたか?


自分は幸運なことに、医療や福祉の人たちとつながりを持っていて、多大に貢献いただいている方がたくさんいらっしゃいます。

最初はそういうネットワークがなかったですが、本当に細い糸をたどっていくように1人のお医者さんと知り合ったことがきっかけで、その後の出会いに大きくつながっていったというのがあります。

ほかには、福祉の業界の方や職場にいる医療スタッフの方を集めたワークショップをしたり、そういった人たちに対して自分が何をやりたいかということを発信しました。

そういった方々向けの当事者の視点ならではのコンテンツをつくって発信するということをしました。

町田
情報発信、自分からまずギブしていくことを最初にやられたんですね。


そうですね。ギブになっていたかどうか分からないですけど、自分から発信をして集まってもらうということを最初はすごく意識してやっていました。

そこで累積で150人ぐらいの方とお話をさせていただいて、接点を持たせていただきましたね。

町田
ちょうど今、「当事者視点ならではのコンテンツ、具体的にはどんなコンテンツでしょう?」とコメントがきています。


当時つくっていたのは、ペイシェントジャーニーマップというものです。カスタマージャーニーマップの医療版みたいな感じですね。

※ワークショップの参加者が作成したマップ

カスタマージャーニーとすごくかたちは似ていて、患者さんが、自分の症状に気づいて診断を受けて治療をして復帰するまでの経験を俯瞰することや、患者さんの行動や感情を深く理解できるツールです。

そこでその患者さん自身がどういう人と接点を持つかとか、どういう場所に出向くかとか、そのときにどういう気持ちになるか、やり取りしていました。

町田
それは、一般的な手法なんですか?


「ペイシェントジャーニーマップ」で検索すると、けっこう海外のものが出てくるかなと思います。

海外でそういう手法があるというのは知っていたんですけど、おそらく国内では製薬会社さんがマーケティング上のアプローチをするときに活用されているくらいですね。

医療とか福祉といった職場の方々が活用されている例はまだ数が少ないかなと思っています。

僕は、そういう人たちに向けた発信をしたいと考えていて、ご縁もあってそういったツールをつくってやらせていただいています。

町田
林さんがそのツールも実際に設計して、カスタマイズしてそれを使っているということなんですか?


つくることを専門にやっている人たちに協力をしていただいて、ツールをつくりました。

町田
今もワークショップの活動も続けているというかたちですか?


今は、ワークショップというかたちではありませんが、なるべく応援してくださる方とのコミュニケーションを定期的に、個別にでもお話できる機会だなと思って、そこは意識してやっています。

町田
次回は、実際に林さんがどのようなサービスをされていて、どういうところに困っているのかといったような話を聞かせていただければと思います。

それでは、ベータトリップの林さんに配信していただきました。今日はありがとうございました。


ありがとうございました。


ありがとうグォ!シェアして一緒に盛り上げて欲しいグォ!
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ami

起業家と未来の仲間をつなげる「ami」の公式noteです。 https://ami.live

amiライブ note

「起業家とサポーターがつながるライブアプリami」のライブ配信の様子を書き起こし、編集してお届けします。
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