20181120_ecbo工藤さん

「荷物一時預かり」シェアリングサービスを世界へ。Uber Japanの経験で得た事業の「肌感覚」

本記事は、ecbo工藤さん@conansiteamiライブ配信の書き起こしです。

ecbo株式会社 代表取締役社長 工藤 慎一さん

amiファシリテーター佐久間(以下、佐久間)
ecboの工藤さんにお話を伺います。よろしくお願いします。

ecbo工藤さん(以下、工藤)
よろしくお願いします。

佐久間
工藤さんはかなり知名度があると思いますが、初めて見た方に向けてecboの説明を簡単にしていただきたいです。

工藤
ecboという会社をやっております、工藤慎一です。

コインロッカー代わりに、スーツケースを「街中のカフェ、マンガ喫茶、郵便局、駅中の空きスペース」に荷物を一時預かりができる「ecbo cloak」というサービスをやっています。

佐久間
お話させていただくにあたって、工藤さんのいろいろなインタビュー記事を拝見した印象としては、ビジネスに対する解像度が高い人だと感じています。

ビジネスに関することや、ecboが目指している未来に関して、とくにお話を伺いたいなと思います。

まず、変なことを聞いていいですか?

工藤
何ですか? 怖い。(笑)

佐久間
「市場規模は小さいんじゃないか?」ってすごく言われると思うんですよ。

たとえば、シェアリングサービスには、UberやAirbnbがありますよね。

Uberであれば、単価が低くても使用頻度がすごい高い。下手すれば毎日使う。Airbnbであれば、使用頻度が低くても単価がすごい高い。

コインロッカーはそのどちらでもない印象で、「市場規模が小さいんじゃないの?」みたいに言われると思いますが、実際はどうなんでしょう?

市場をどう独占していくのか

工藤
2つあります。

1つは、直接は市場規模の話と関係していないですが、コインロッカーに関する課題が目に見えているということ。

「この課題をどうすれば解決できるんだろうか」と、パッションを持って考える人は、僕くらいしかいないんじゃないかと思っています。まずその課題を解決していきたいという思いがあります。

もう1つは、課題があるからこそ、解決することができれば、売上は何かしらの方法で絶対に上げられるはずだと考えています。

荷物一時預かりの市場規模は厳密にいうと、潜在ニーズを含めれば1,000億円ぐらい市場があります。既存のコインロッカーはそのうちのおよそ半分、約500億円の市場があるんです。

残り半分の500億円に関しては今全く手つかずの状態で、しかも、課題が如実に出ているような状態なんですね。

この市場をいかに独占していくか。

独占できるプラットフォームをつくることができれば、日本国内で500億円の市場があるわけだし、世界に展開すればさらに大きな市場にはなると考えています。

もちろん、Uberとか、Airbnbと比べると、単価は低く、利用頻度も低いんですが。

それでも、「その障壁があるからやらない」ではなくて、「コインロッカーがなければ、ecbo cloakを使おう」という文化もつくっていければ、絶対にビジネスになると思います。

佐久間
「そこにある課題を解決する」というところは、すごく共感します。

実際、ecbo cloakを使ってみました。たとえば、渋谷であれば、渋谷郵便局さんがすごく評判がいいんですけど、評価システムがあるのがすごくいいなと思いました。

その中で私がびっくりしたのが、日本人からの評価もあるとはいえ、海外の人からの評価ばかりだということ。

訪日旅行客の方がヘビーに使っている感じなんですか?

工藤
今はユーザーの7割が外国人なんですが、僕らもすごくびっくりしています。これまで、マーケティングは一切打っていないんですよ。

基本的に、今のユーザーは、口コミベースでどんどん広がってきました。最近統計を取ったんですけど、日本と比べると、台湾や香港の認知度のほうが2~3倍ぐらいありました。

佐久間
マジですか!?面白い。

工藤
それはそれでびっくりしました。

日本に来る台湾人、香港人の統計を取ると、いい感じにecbo cloakユーザーが占めているみたいな、それこそ10%程度と数字がでていることは、すごく面白いと思っています。

佐久間
もう少しその部分をお聞きしたいんですが、マーケティングなしで、本当に口コミだけでそうなったんですか?

工藤
本当に口コミだけです。

「今までみんなが言語化できなかったけど、課題だと感じていた」ことに対して、自分で言うのも何ですけど、すごくきれいにソリューションを提供できたんですよね。

人は自分にとってよかったものを他人に伝えたくなる習性があるじゃないですか。それもうまくハマって、一気に広がったというのはありますよね。

佐久間
本当の課題を解決しているからこそ、人に伝えたいという気持ちが生まれて、口コミで広まったんじゃないかということ。

工藤
「市場が小さいからやらない」ではなくて、「課題があるなら、市場が小さくてもそこをいかに独占していくか」「独占して、そのキャッシュでどう横展開していくか」という、横の広がりも考えながら、最初はビジネスモデルをつくっていきましたね。

佐久間
私も、「小さな市場を独占」という考え方がすごく好きです。事業の解像度が上がるし、リアルな課題を解決してユーザーにすごく喜んでもらえる。その連続でだんだん市場が大きくなっていくというサイクルがつくることができる。

小さな市場を独占することの連続は、ビジネスがうまくいくだけではなく、課題を解決している実感が得られるのですごい好きですね。

工藤
すごく共感しますね。小さな市場に見えても、実はより大きな市場に必ずつながっているんですね。

小さな市場を独占することで、確実に広がりが生まれるんですよ。当初想定もしていなかった使い方や、こういった展開もできる、という発見は、あとからついてくるものですしね。

佐久間
たしかに、やってみないと分からないですよね。

工藤
やってみないと、やはり分からないですね。

佐久間
今、事業の展開の話がありましたが、その方向性を聞きたいです。垂直に行くか、水平に行くか。一般的な質問ですが、怒らないでね。(笑)

工藤
大丈夫です。

佐久間
水平であれば、たとえば、アジアを中心に海外に展開していくと。

垂直であれば、インバウンドの渡航者に対する最適なプラットフォームにどんどんいろんなサービスを付け足していくといった、2つの方向性があると思うんですけど、どちらを考えていますか?

事業を水平に広げるか、垂直に伸ばすか

工藤
そこについては、サービスをつくる前からずっと議論して、考えているところです。基本的には「面を拾いきる」のが一番大事だと思うんですよね。

最初は、「いかに効率よく面を広げるか」に特化してビジネスモデルをつくりました。つまり、店舗さんとユーザーさんさえいれば成り立つようなプラットフォームとしてecbo cloakをつくったんです。

まずは水平に効率よく、日本国内で広げていく。そして、日本で経験したことの再現性があるように、海外の都市にも広げていく。

「2025年には、グローバルの500都市にecbo cloakを広げていく」とずっと言ってきました。この土台があれば、垂直に色々なサービスをアドオンできる。

最初からアイデアとして、アドオンしたものをいくつか考えていました。

その中の1つ、すでに公表しているのは「ecbo delivery」という、ボタン1つで荷物を配送できるというサービスです。

ecbo cloakだけで、日本国内500億円の市場を独占して、ecbo deliveryも展開したら新たな市場になるじゃないですか。アドオンすると、さらに市場が獲得できる、となっていくと。(笑)

佐久間
ecbo deliveryの話を伺いたいです。

たとえば、海外の方が北海道に来てスキーをされるとして、自分のスキー用品を持ってきているけど、札幌市内を観光するときはそれを預けないといけない。

究極のかたちは、そういった課題を克服して、「スキーをするときだけその荷物がある」、そんなイメージですか?

工藤
そうですね。僕らには「ものの所有を自由にしよう」というミッションがあります。

「必要なタイミングで、必要な場所に、必要がものがある」という状態をいかにシンプルに効率よくつくるか、ずっとフォーカスをあててサービスをつくっています。

そういった状態が理想ですが、いかにユーザーがいい体験をできるか、を意識してつくっていますね。

佐久間
まずは水平展開をして、「コインロッカーの代わりといえばecbo cloakだよね」という状態にもっていく。

そのときに、私が想像しちゃうのは、モバイルペイメントの覇権争いのような陣取り合戦にならないかということ。そうなると、大規模法人営業部隊が必要になってくると思うんですが、どうですか?

工藤
それぞれの企業にそれぞれの戦い方があるというふうに思っています。

スタートアップは少ないリソースで、効率よく市場を押さえながらやっていく必要があると思うんですね。

Uberでの自身の経験や、僕の周りの話を踏まえると、陣取り合戦で全部勝てばいいわけではなくて、一番大事なのは、いかにプラットフォームを成立させるか。

陣取り合戦したうえで、適切にユーザーに入ってもらって、そこでプラットフォームとして売上を上げる必要がある。

単純に陣取り合戦で勝てばOKではなく、小さな規模であっても、店舗や、ユーザーさんが使ってくれること。それをいかにして、順繰りにつくっていくかが大事。

佐久間
さきほどの、「小さい市場の独占の連続」と同様のお話と思っていいですか?

工藤
全く同じ話でして、いきなり日本全国を攻めても正直意味はない。まず渋谷を押さえられなければ、日本全国は押さえられないですよね。

あとは、ユーザーのニーズがどこにあるかを、データからおさえる必要がある。

何となくですが、売上はパレートの法則が働いていると思うんですよ。ecbo cloakに関しても、実は売上の8割が都心部のユーザーです。

いかに他社より早く押さえきって、来てくれたユーザーに対してもいかに早く訴求するかという、PDCAをどれだけ早くやりきるかが重要。

それをやりきれなければ、どれだけお金とリソースをかけたとしても、これをスイッチさせるのはものすごく難しいと思います。

佐久間
渋谷でも大規模なロッカーの数が足りていないと話されていましたが、そういった課題をユーザーに本当に響くかたちで解決できれば、口コミで広まるかもしれないということですね。

最初に資金を投入して、大規模な法人営業部隊を整備して、というやり方とは別の方法をとる。

工藤
お金でひっくり返されないような戦略をあらかじめ立てていますね。

主要なエリアに場所をつくったうえで、「ここと提携したら嫌だな」と思われるところと提携していくと。例えばJRさん、郵便局さん。

ほかにもまだ控えているところがたくさんあるんですが。(笑)

佐久間
そこについてもちょっとお聞きしたく、工藤君の事業提携力はすごいなと思ったんですけど、どうやって提携していったんですか?

株主でもあるJRさんといった、「こういう会社と組むと本当にビジョンに近づくな」という会社さんとどんどん組まれている気がしています。

そういう提携の話は30~40歳の起業家の人は得意だけど、若い人は不得意な印象があります。そこをうまくできているのは、どんな経験があったんですか?

工藤
個人的には、やっぱり時代の流れがあると思います。

今の時代の大企業の流れが「オープンイノベーション」なので、スタートアップにも耳を傾けるようになっていると思います。

われわれの実力というよりは大企業さんが姿勢を変えたからだと思います。あとは、タイミングですね。

ecbo cloakがローンチされたタイミングと、JRさんや郵便局さんといった大企業の姿勢の変わり目がタイミングよく重なったというのが、割合的には7割くらいあると思います。

残り3割の部分は思考量であったり、プロダクトのよさだと思います。

ecbo cloakを導入するのにものすごく設備投資費用が必要であれば、どこも投資やアライアンスをしたくないと思いますよね。

ecbo cloakの導入のしやすさは、プロダクトをつくる段階からものすごく考えて、どうすれば「スマートフォンさえあればできるか」を意識しました。

できるかできないかの肌感覚は、Uberでの経験が活きています。Uberは当時自分が入ったときはみんなが知らなくて、「タクシーの配車、何それ?」という状態だったんです。

「タクシーの配車、何それ?」と思われていたUberが、どんどん大きな提携をしていく様を見たとき、「プロダクトがよくて、解決する課題がシンプルで明確であれば、みんながそこを気づいていく。不可能なことはないな」と思ったんですよね。

最後は、そこの課題を解決していくときにどれだけ情熱的にになれるかだと思います。

佐久間
行動していけば、不可能なことはない。

Uberで実際に仲間が増えていく体験をしたことで、より行動の敷居が下がったということですね。

工藤
表に出ないですけど、提携数の10倍ぐらいは球を打っているので、その10%に、フォーカスが当たっている。本当は10%もないかもしれない。

いい部分だけを切り取って表に出ているものがすべてに見えることって、よくありますよね。

裏では本当に、本当にチームスタッフがものすごい努力をしているから、ニーズにこたえられています。

佐久間
最後に言い足りないこと、何かありますか?

工藤
ecboは人がまったく足りていません。マーケティングや、エンジニアといった部分で、ecboに少しでも関わりたいというふうに思う人がいたら、ぜひ連絡をください。

佐久間
ありがとうございました。

工藤
ありがとうございます。楽しかったです。

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ami

起業家と未来の仲間をつなげる「ami」の公式noteです。 https://ami.live

amiライブ note

「起業家とサポーターがつながるライブアプリami」のライブ配信の様子を書き起こし、編集してお届けします。
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