20181107_cotree櫻本さん

メンタルに強い弱いはない。メンタルケアの「4つの障壁」を乗り越える仕組み

本記事は、escort櫻本さん(@marisakura)のamiライブ配信の書き起こしです。

株式会社cotree CEO 櫻本 真理さん

amiファシリテーター森(以下、森)
ライブ2回目のご登場、escortの櫻本さんです。よろしくお願いいたします。

escort 櫻本さん(以下、櫻本)
よろしくお願いします。


本日初めて見られる方もいらっしゃるので、簡単にサービスの説明をお願いします。

櫻本
オンラインカウンセリングサービスを中心とした、株式会社cotreeを運営しています。

最近リリースしたescortというサービスは、起業家向けのメンタルサポートサービスです。起業家さんは無料で使っていただけて、コーチングやコミュニティ、それからセーフティネットとして利用いただけるサービスになります。


前回、このescortのサービスを始められた背景についてお話いただきましたが、その中で、「起業家にはメンタルに問題を抱えやすい人が多い」という、衝撃的な話も伺いました。

「起業家は家族とうまくいっていないケースもある」という、皆さんもご存知なかったような事実をお聞きすることができました。

櫻本さんにお聞きしたいことがある方は随時コメントをいただければと思いますが、皆さんのコメントを待っている間に、先に私が聞きたいことを聞きます。

櫻本
ありがとうございます。


櫻本さんはもともと金融業界にいらっしゃったんですが、全く畑が違う、カウンセリングサービスを始めたのはどういった背景があったんですか?

櫻本
2005年~2010年の期間、金融業界でアナリストの仕事をしていました。

2009年、リーマンショック後に会社の雰囲気が悪くなっていった頃、周りでリストラが始まったりと不穏な空気が漂っていました。

そんな中、自分も寝る間も惜しんで働いた結果、眠れなくなったことがあり、メンタルクリニックに行ってみようと思ったんですね。

クリニックに行って1時間半ほど待たされたものの、わずか数分の診療で「軽いうつだと思うのでお薬だしておきます」という、非常にライトな診療を受けました。

メンタルヘルス業界の現実にショックを受けましたね。

※本文中の写真は、amiアプリのライブ画面のキャプチャー画像です

それを1つの原体験として、「気軽にいつでもどこでもカウンセラーに相談できるようなサービス」を立ち上げたという経緯があります。


私も同様の経験があるんですが、「そんなの薬で治らないよ」みたいに、櫻本さんと同じ気持ちを抱いていました。

櫻本さんの話を聞くと、「話も全然聞かないで薬を処方する」という現実があると感じたんですが、日本の診療業界が全体的にそうなっているんでしょうか?

メンタルヘルス業界の実情

櫻本
薬をすぐ出してしまうというのは仕組み上の問題ですね。精神科の保険点数を見ると、心理療法をしっかりやるインセンティブ設計にはなっていないです。

「5分やっても3,000円、30分やっても4,000円」なので、しっかり心理療法をやるインセンティブが医者側にはないと思います。

たとえば、東京の精神科の先生たちは忙しく、1日70人も80人も見ています。単純計算では数分しか診る時間がないんです。

何もせずに帰すわけにはいかないから、薬を出すしかなくなっている。「5分診療でお薬だけ出す」といった精神科医療の課題が放置されている状況ですね。


そもそもお医者さんが、頑張っていろいろ話を聞こうというインセンティブがない。あとは、そもそも医者の数が足りていないという、構造的な問題もある。

櫻本
今は、公認心理士という国家資格ができて制度としても変わりつつある時期ですが、やはりまだまだ追いついていないです。

それからもう1つ、日本では心理療法家が育っていないという現実もあります。

教育制度や資格制度を含め、欧米ほど専門性の高い資格として心理カウンセラーが認知されていないというのが、現実ですね。

たとえばアメリカだと、それこそ博士号を取ってものすごいトレーニングを受けた人がカウンセラーになるんです。一方日本では、今まで国家資格すらなかった。

スピリチュアルや宗教といった世界とそれほど境目がなかったので、ユーザーとしてもカウンセリングサービスを使いにくいですよね。

誰が良いカウンセラーなのかも分からないし、明確な資格も制度も整っていない。そういう部分で「カウンセリング」が使いづらいサービスだったという事はやはりありますね。

最初は少し怪しそうに見えるからこそ、気軽に試してみることが出来る環境はすごく大事かなと思います。最初から対面のカウンセラーに足を運んで会いに行くということは、すごくハードルが高い。

試しにオンラインで受けてみる、というところからスタートして、「これはいいね」となれば、対面のほうにシフトしていただくこともできる。オンラインのままでもいい人は、そのままオンラインで受けていただく。

そういった最初のきっかけとして、オンラインカウンセリングを使っていただいていますね。


うちださんからも、「クリニックに行くの、ハードルが高いですよね」というコメントがきていますが、お話にあった通りだと思いますね。

のりかさんから、「なぜメンタルヘルスに対する理解が低いのでしょうか」と質問がきています。

櫻本
これは文化的なテーマでもあるとは思うんです。「人間の主体性」みたいな、ディープな話になります。(笑)


いいですよ。

櫻本
人間の主体性に対する捉え方が、異なっているかと思います。

欧米だと、キリスト教から始まる、「人の主体性は個人が持つべきである」という考え方に基づいて、カウンセリングという、主体性を育てるサービスの意味が、当然と認識されているところがあるんです。

一方、日本では、「個人は社会によって構成されている」というつながりの中で定義されるようなことがあって、主体性に対する考え方が弱いこともあるのかなと思います。

「自分の心をケアする」ことになかなか至らないということと、「裏と表」を日本人は使い分けるので、その「裏」の部分に他者が入っていくことへの抵抗感があるのかなと思います。

また、純粋に歴史が浅いというか、信頼されるサービスとしてまだ確立していない部分があるので、認知されてないということもありますね。

それでも今後は変わっていくと思います。今の若い世代ほど、メンタルヘルスの問題に対する意識がすごく高い印象があります。

スクールカウンセラーの制度を若い世代の人が使えるようになったのも、この10年ぐらいですし、どこの大学も相談室のキャパシティはいっぱいで、相談件数が増えているんですよね。

昔と比べると増えているし、自分の心に意識が向くのはグローバルなトレンドです。欧米でもミレニアム世代は自分の心のセルフケアにすごく関心が高いという話もあって、日本が例外ではないと思うんですね。


櫻本さんは、早い段階からこの業界に足を踏み入れていらっしゃると思うんですけれども、まだ診療というものに抵抗を感じている人もいます。

櫻本さんは今まで、どんな障壁を下げる工夫をされてきたんでしょうか?

カウンセリングに至るまでの4つの障壁

櫻本
カウンセリングの障壁は大きく4つあると思っています。

1つ目は、心理的な障壁。「病気だと思われちゃうんじゃないか。1人になりたくない」という心理的な障壁。

2つ目は、経済的な障壁。基本的にカウンセリング料金は高くて、1回1万円とかしてしまう。それを払える人はなかなかいない。

3つ目は、地理的な障壁。近くに自分に合うカウンセラーがいない可能性がある。

4つ目は、時間的な障壁。メンタルに問題を抱えるケースというのは、忙しい人が多い。

そういった障壁を抱える人たちに、オンラインで相談するという仕組みが、4つの障壁を乗り越えるものとして提供できるものだと思います。できるだけサイトを分かりやすく、抵抗感をなくせるような工夫もしています。

最近はPR動画をつくっていて、「カウンセリングって別に病気じゃなくても受けていいんだよ」という空気感を伝えていく努力もしています。

(cotreeのサービス紹介動画)


私も実際にcotreeを使ってみました。「これどうやったらいいんだろう」ということが全くなく、最初のメッセージも「スッ」とはいって、非常に分かりやすかったです。

櫻本
うれしいです。


参考にされたようなサービスはあるんですか。

櫻本
海外では「メンタルヘルス×IT」の領域でいくつもサービスがありますが、とくにcotreeが立ち上がったころ参考にしていたのは、「Talkspace」というサービスです。Talkspaceはかなり資金調達もしていて、オンライン相談でスケールしています。

アメリカは日本の100倍近くカウンセリングマーケットがあるので、いろんなサービスが出てきているし、参考になるものも多いですね。


心の問題って、みんなが関心のあることなので、コメントもすごい来ていますね。「言語化されていると本当に分かりやすい」といったコメントも来ています。

そういったサービスを参考にされつつも、日本は、慣習的な面もあって普及が遅れている実情があります。海外のサービスの攻め方や広め方を、そのまま参考にすることは出来ないと思いますが、今までやっていて一番苦労した部分はなんでしたか?

「オンラインカウンセリング」を立ち上げる難しさ

櫻本
最初は、専門家の理解を得られなかったことがありましたね。

オンラインサービスに対して抵抗感を持つ専門家が多く、「オンライン相談なんて意味ないから」と思う方々を巻き込んでいくために、いろいろなデータを取って、文章を書いたりしてきました。

ただ結局のところ、ユーザーさんが「これいいね」と言ってくださるのが普及の一番のきっかけになるので、最近はTwitterでしっかり発信をしていくようにしています。Twitterは匿名だからシェアしやすいんですよね。Facebookだと「カウンセリング受けました」って言いづらいんですけど、Twitterだと言いやすい空気がありますよね。

そうしたWebのコミュニティでも、「カウンセリングを受けることはとくにカッコ悪いことではないし、病気の人が受けるものではない」という考えが広がっていきつつあると思います。

起業家のメンタルヘルスをサポートする、escortに関していうと、「起業家として成功するためには、事業とメンタルの両方が大切だよね」という考え方が広がっていく必要があると思っています。

事業を見る人は多いですが、メンタルにフォーカスする人はあまりいない。

それでも、メンタルが上手くいっていると事業もうまくいくし、事業がうまくいってるとメンタルもうまくいくように、両方を整える必要があるという認識が、体験して共有されるようになってほしいと思いますし、そういう場をつくっていきたいと思いますね。

失敗のストーリーとかメンタルの話ってなかなか外に出てきづらいところなので、それがオープンになるような工夫を今後していきたいですし、イベントの開催もしていきたいと思っています。


今の話にも通じるんですけども、のぞみさんから、「気合の問題じゃない、ということに本人が気づくまでが難しい」とコメントが来ています。

櫻本
本当にそうですね。環境との不適合なので、「メンタルが強い・弱い」ではないということは、もっと認知されてもいいと思います。


本当に、まずは認知するところからですよね。

櫻本
あとは、カウンセリングを使った人がどんどん発信していただけるといいなと思っています。escortの場合は、使ってくださった方が発信してくださるということが多かったですし、そうした形で広まっていくのが一番いい!

やはり友達の話が一番信用できますしね。


そうですね。

まるで私が今、カウンセリングを受けているような感じだったんですけども、時間が来てしまいました。

最後に、櫻本さんが今、一番困っていることは何でしょうか?

櫻本
この場で言いたいことは、escortというサービスは、起業家向けのサービスで、「メンタルが強い、弱い」「メンタルが弱ってる、弱ってない」という部分に限らず、事業成長をしていく上で必要な自己理解とか、課題理解に役立つサービスになっています。

ぜひ、起業家さんに使ってみていただきたいなと思っています。

起業家さんは無料で1回コーチングを受けられて、その後も、Slackでフォローアップを受けられるという、すごくいいサービスになっているので、ぜひこの機会に活用してもらえるとうれしいです。

それに対して意見とか、こんなふうにしたらいいんじゃないかといったフィードバックをいただけるとすごくうれしいです。


そして、そのままamiにも出ると!(笑)

櫻本
ぜひ。amiにも出てください。


こんな締め方をしてしまいました。(笑)

本日は櫻本さんにおいでいただきました。ありがとうございました。

櫻本
ありがとうございました。

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嬉しいグォー!これからも応援よろしくグォ!
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ami

起業家と未来の仲間をつなげる「ami」の公式noteです。 https://ami.live

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「起業家とサポーターがつながるライブアプリami」のライブ配信の様子を書き起こし、編集してお届けします。
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