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「ニューエリート」著者ピョートル氏と学生起業家が考える、幸せをデザインする方法

本記事は、Hand-C仁禮さん(@ayakatimeleaper)、ピョートルさん(@piotrgrzywacz)のamiライブ配信の書き起こしです。

ライブアーカイブ

起業家紹介

左:株式会社Hand-C ​代表取締役社長 仁禮 彩香さん
右:取締役 ピョートル・フェリクス・グジバチさん

amiファシリテーター 松岡(以下、松岡)
本日は、Hand-Cの仁禮さんとピョートルさんに来ていただきました。
まずは、Hand-Cの事業を簡単にご説明していただいてもよろしいでしょうか?

Hand-C 仁禮さん(以下、仁禮)
仁禮(にれい)と申します。

私は、自分が大学生になってからつくった2社目の会社でHand-Cという教育領域の会社を経営しています。具体的には、小学生から高校生、大人に対してさまざまな教育プログラムを提供しています。

私たちは、自己認識と自己表現という、人間が成長する過程で必要なプロセスを切り取ってそこを軸に活動をしています。

「これをしなさい」ではなく、「自分はこれができるな」や「こういうことだったらやりたいな」ということを自分の中から発見する機会と、それをアウトプットする機会をつくるプログラムの開発をしている会社とイメージしてもらえたらと思います。

松岡
仁禮さんは、今は慶応義塾大学のSFCに通っている大学生ですが、小学生のときに日本の教育に課題を感じ、中学生で1社目を起業され、今の会社は2回目の起業という衝撃的な経歴をお持ちです。

起業までの詳細は、過去のamiライブの書き起こしnoteをぜひご覧いただければと思います。

そして今回は、もうひと方取締役のピョートルさんにお越し頂きました。

Hand-C ピョートル・フェリクス・グジバチさん(以下、ピョートル)
よろしくお願いします。ピョートル・フェリクス・グジバチと申します。

ポーランドから2000年に来日してから、千葉大学で研究をした後、16年半の間、組織開発、人材育成戦略、M&Aなどの仕事をしてきました。3年前にGoogleを辞めて今は独立しています。

ちょうど40歳で独立したんですが、14歳という自分よりかなり若くして起業した仁禮さんにはすごく憧れていました。

仁禮
(笑)

ピョートル
独立して未来創造事業を行う、プロノイア(ギリシャ語で「先読み」という意味)グループを立ち上げました。

プロノイアは、お客さんのために何かするのではなく、パートナー企業とともに平等な関係性で様々な企業同士を掛け合わせて、未来を作っていく事業を行っています。

お客さんも、営業もない不思議な会社です。

たとえば、民間企業に教育機関を掛け合わせるとか、行政を掛け合わせることによって戦略や製品、組織開発、地方創生といった新しい価値を生み出していきます。

仁禮さんとは、2年前にmotifyというスタートアップを立ち上げた後、早稲田大学のNEOというビジネススクールでスピーカーをした時に出会いました。

私は、もともと誰でも自己実現ができる世界がつくりたくて、そのために、よりよい会社、よりよい社会をつくりたかったので、今の日本の教育を見直す必要があると思っていたんです。

日本は世界で3番目のGDPをもつ経済大国ですが、世界的な活動をしている日本人はそれほどいません。

そこで、日本から新しい考え方を発信する未来人を育成したいと考えていたときに、ちょうど2社目を立ち上げようとしている仁禮さんに出会ったんですね。

年齢も人種も性別も違いますが、価値観が一緒だし、お互いに気楽に働けそうだと感じてとてもうれしかったです。

松岡
ピョートルさんは、ベストセラーになっている『ニューエリート』という本の著者の方でもいらっしゃいますが、なぜHand-Cにジョインすることになったのでしょうか?

道玄坂ピッチから始まった

仁禮
早稲田のビジネススクールで一緒に登壇した後、ある日「イベントをするから来なよ」という連絡をイベントの前日にピョーさんからもらいました。

私も同じ日に別のイベントに出なくちゃいけなかったので、行けないと最初は思いましたが、「絶対行ったほうがいいな」と感じる瞬間が自分の中であって

今までそういう行動をしたことはなかったんですけど、自分のイベントが終わってから一応行ってみようかなと思って、ピョーさんの会場に行ってみたら、ちょうど終わって帰ろうとしているピョーさんに道玄坂で会えたんですね。

松岡
たまたま?

仁禮
そうなんです。そこから駅まで歩く道のりで、自分の価値観やこれからやりたいこと、そしてピョーさんと一緒にやりたいという想いを話しました。

松岡
エレベーターピッチならぬ、道玄坂ピッチがあったんですね。

仁禮
そうです!道玄坂ピッチ!

そうして、私がやっている子どもたちが通っているスクール系のプログラムの開発や、運営をピョーさんと一緒にするようになりました。

私たちは「どこからが大人で、どこからが子ども」というのを重視していないので、子供たちに提供するプログラムを大人と掛け合わせることも可能ですし、多世代の人たちが同じテーマで何かをすることも価値があると思っています。

そういった「私が持っている価値観やビジョンをプロノイアと、そしてピョーさんと一緒に展開していきたい」という気持ちが一緒にやるうちに生まれてきました。

ピョートル
その話は初めて聞きました。(笑)

「みんなタイムリーパーになれるんですよ」

仁禮
そうやって考えるうちに、タイムリープというコンセプトを思い付きました。

タイムリープは「時をかける少女」で出てくるワードですが、簡単に言うと「過去や未来の任意の時間に移動する」という概念です。この概念と同じで、人も成長して生きていく過程で、過去から未来という一方向の時間を生きているように見えて、実はすごく過去や未来に想いを馳せたり、それらを行動に生かしたりと「タイムリープ」のように一方向ではなく、様々な時間を生きていると私は考えていて。

たとえば、自分という1人の人間で考えても、私の過去の原体験や失敗、成功が今の自分につながっていたりとか、「自分はどんなふうに生きたいのか」という未来を見据えて考えることで今の自分ができていたりとか。

いろいろな時間に自分の考えを持っていって、それをどう生かすかという考え方をする人たちが世の中をより豊かに、新しくしているんじゃないかなと思っています。

だから、みんなタイムリーパーになれるんですよ。

タイムリーパーという概念は、思考のプロセスや行動パターン、人が成長するときに役立つものだと思いますし、自分たちの事業を表す表現の仕方としてもあっていると思ったので、Hand-Cからタイムリープ株式会社にしてしまおうということになりました。

それで、タイムリープになる前のテコ入れをするために取締役としてピョーさんがジョインしてくれることになったという経緯があるんです。

松岡
なるほど。というわけで、Hand-C、から今後タイムリープに変わるわけですが、目下取り組まれていらっしゃる事業があるんですよね?

仁禮
社名をタイムリープに変えるときに、自分たちでまずタイムリープできる場所をつくりたいと思って。

ピョートル
タイムマシーンですね!

仁禮
(笑)タイムマシーンと考えてもらってもいいかもしれないですね。

ずっとピョーさんから「タイムマシーンはどう?」って言われていたのですが、私がタイムリープがいいなと思っていたので不採用にしちゃいました。(笑)

ピョートル
(笑)ちょっと余談話ですが、同じタイミングで自分の頭の中にもタイムマシーンというコンセプトが湧いていました。

改めて「タイムマシーンって何だろう?」と考えると、タイムマシーンは過去に戻って自分の過去を編集する仕組みですよね。

私も「苦しんだとか辛かった経験をいかに建設的に編集して、それを未来のために使っていくかが重要」という概念を思い付いたのですが、不思議なことで、仁禮さんとも同じタイミングでタイムリープという話が出たのでびっくりしました。

「タイムリープが起きる」場所の条件

仁禮
私たちがつくりたい場所は、自分だけじゃなくて、過去のいろんな人たちが残してきた伝統や失敗、経験を建設的に現在に生かしたり、自分たちを未来に持っていけるような学びができる環境をつくりたいなと思っています。

hand-Cのターゲットは、小学生から高校生が主な年代でしたが、プロノイアは企業で働いている人たちの生き方や働き方にアプローチしているので、そこを掛け算するタイミングが何回かありました。

それを掛け算をしたときに、世代間の交流でもタイムリープは起きるし、こういう環境をもっとつくれたら、新しい学び方ができるんじゃないかと実感しました。

タイムリープという箱をつくって、その中に自分たちが今まで持っていたコンテンツをたくさん展開したり、いろいろな人の掛け算が起きる場所をつくっていきたいんです。

これからの時代、遠隔でも仕事はできるので、場所がなくても生きていけますが、そんな中でも、面倒くさい電車に乗ってでも行きたくなるような場所だけは残ると思っています。例えるならディズニーランドとか。

エリア等は検討中ですが、「偶然の出会いや自分の未来を変えるきっかけに出会える」がコンセプトの、学びと出会いが育まれるスポットをピョーさんと一緒につくりたいです。

松岡
幼少期の頃から大人まで年齢に関係なく、自分自身の価値観を感じられる教育の場ということですね。

2人を引き合わせた1つの奇跡

松岡
ピョートルさんが仁禮さんとタッグを組んでやっていこうと思ったきっかけや、どういう部分で一緒にやりたいと思ったのですか?

ピョートル
たくさんありますが、絞って言えば、2つのポイントにとても共感を感じました。

まず1つ目は、パッションですね。仁禮さんは、非常に情熱を持っていて、やりたいことが明確ですよね。

2つ目は、価値観です。

人は誰でも、自己認識をきちんとして、それを周りの人たちに自己開示して伝えるために自己表現をすれば、自己実現もできるんですね。その結果、自己幸福感が高まるという好循環がつくれるんです。

残念ながら、日本の教育はかなり自由度が少ないです。自由度の少ない教育によって、一方通行の社会の情報を得て、その後、受験勉強をして大学に入る。大学の後に次は就活をして会社に入ります。そういう生き方の中には、自分らしく生きる時間がありません。

大学のときにバイトをしたり遊んだりしますが、もっとその時間を使って建設的な生き方ができるんじゃないか?と私は思っています。

10歳頃の子どもたちの発達状態を見ても、カッコいいことを言えるし、社会問題も把握しています。だから、彼らに平等でフラットな社会貢献ができるような仕組みをつくりたいと考えていたときに仁禮さんと出会いました。

その価値観をお互いに同じタイミングでもっていたことは、奇跡だと思います!(笑)

「大人×子供」に秘められた可能性

松岡
今後、「2人でどういうことをやっていきたいか?」、「どういう未来を実現したいか?」お話をお聞きかせ頂いてもよろしいですか?

仁禮
タイムリープの話は今日初めてしっかりと人前でしたので、これからどうやってタイムリープの概念を説明していくかまだ明確には決めていなくて。

なので、イメージでお話させて頂きます。

ピョートル
じゃあ、ちょっとブレーンストーミングでもしましょうか。

仁禮
そうしましょう!

ピョーさんは、タイムリープと聞いて、みんなにそれを価値だなと思ってもらえる部分は何だと思いますか?

ピョートル
タイムマシーンのようにタイムリープの仕組みに入って、自分の過去を考え直す機会を提供したいです。

過去を考え直しているときに、たとえば、子どもの好奇心を使って大人に対してリバースメンタリングなどをして、違う世代同士でお互いの時代の橋渡しができるといいなあと思っています。

たとえば、SDGsという言葉が最近日本でも人気になっていますが、大きな社会問題や深刻な問題をわれわれ今の大人の世代が解決しないと、今生きている子どもたちが40代、50代になったときに生きていられる場所がなくなってしまうかもしれません。地球の環境問題や大気汚染の問題などが最たる例です。

そういった問題もこの地球にいる方々の頭脳を使えば何とかなると思っています。

なので、その頭脳を使うきっかけをつくるために、子どもの好奇心やパッションを引き出して、大人のインスピレーションにつながるようにしたいというのが僕の個人的な希望です。

仁禮
そうですね。社会人と子どもたちの交流において、「子どもたちが価値だと思ってくれていることや、興味があるものを自分たちは作っている」と大人自身が実感できる機会があることが重要だと思っています。

そういう機会を通して、未来に何かを残す大人世代のモチベーションが向上したり、希望を抱いたり、そういう瞬間ってたくさんあっていいなと思っていて。

子どもたちのためにプログラムをつくって、その子どもたちが受けるプログラムにメンターや、スタッフとして大人がジョインしてくれていますが、大人自身も手伝うことを通して希望を持てたり、「自分がやっている仕事に価値を見出せた」と言ってもらえることがとても多いんです。

そういう自分の新しい一面を、多世代の子供と接することで大人が認識できるのはとても価値のあることかなと思っています。

「理念とお金のバランスって何なんだろう」

ピョートル
そうですね。僕は、鉄のカーテン(非共産圏諸国に対するソ連とソ連圏諸国の閉鎖的態度をさした表現)が消滅する前に生まれたので、まだソ連に支配されていて、行き過ぎた共産主義の中のポーランドで育ちました。

毎日、プロパガンダでテレビでは「お金は汚い」という資本主義を蔑視するような情報が流されていました。

日本も、もちろん資本主義の国ですが、お金との建設的な関係性を持つ人たちは少ないと思います。

たとえば、「頑張って汗をかいてお金をもらって、そのお金を貯金して好きなものを買う」という仕事のマインドセットは改善したほうがいいと思います。

簡単に言うと、国と民間、行政、教育機関、民間企業が乖離しているのは危ないです。

もう少し具体的にいうと、学生が16歳や18歳までお金をもらえないのはよくないんじゃないかという考え方のことです。

何らかの価値を世界にもたらせば、別に10歳の子どもでもお金を稼げるようなチャンスをつくってあげていいんじゃないでしょうか。

そうすれば、建設的にお金の仕組みやリソースの回し方が学べ、よりよい生き方ができます。

日本で社会貢献をしたい若い人たちはNPOやNGOによく入りますが、残念ながら日本のNPOやNGOはすごく共産主義的、社会主義的な考え方をしていて、お金は汚いといまだに思っているのでお金を稼ぐという考え方を持っていません。

海外、とくにアメリカではNPO、NGOも民間企業と同じレベルの給料をもらえますし、だからこそ、みんな頑張って成長し、成功するんです。

日本でも、民間企業はもっとリソースを回してよりよい世界をつくっていくべきだし、NPOもお金の回し方をもっと学ぶべきだと思います。

なので、「子どもの生き方」「子供の未来」「NPOや行政と民間の考え方」の3つのポイントをいかに掛け合わせるかが重要なんじゃないでしょうか。

仁禮
日本だと、教育機関に行くとお金が稼げないし、「お金の話はしちゃだめ」「お金は悪」という考えが、先生たちの価値観としてまだ当たり前のようにあります。

けど、社会に出た後、ほとんどの人がお金に関わるので、「どういうふうに経済が動いているのか」や「お金と自分の関係性」を社会に出る前に知っておくことは、生きていくうえで必要なアプローチだと思っています。

だから、タイムリープでもお金の授業をやっていこうと思っています。

自分たちでやっているプログラムの中でも、中学生が架空のカレー屋さんのコンサルするというものがあります。

そのプログラムでは、子供たちに「最初はめちゃくちゃ売上を伸ばすようにして」と言って、カレー屋さんの情報が書かれている表から、「どういうものを使っているのか」、「何人雇っているのか」、「土地の単価」などを子どもたちが、安い単価のものに変えたりしながらどんどん削っていくんですよね。

そうするとそのお店の店長のチャナティップからメールが来て、「うちのお店のコンセプトで野菜はこの基準以上のものしか使わないと決めている」とか、「従業員のことを家族のように思っているから、カットすることは考えられない」といった店長の理念があることが分かります。

そういった経験を通して「理念とお金のバランスって何なんだろう」とかを子どもたちが考えながら、経営も考えるんですよね。そういうことは中学生でも小学生でもできると思うので、あとは機会をもっと増やせればと思っています。

私が行っていた小学校は、小学生のときにビジネスを実際にやらせてくれたし、自分たちでものをつくって売るということを当たり前にやっていたので、本当は紙ベースのコンサルじゃなくてもできることだし、やりたいと思ってます。

これからの教育のかたち

松岡
最後にお2人が「教育とは、誰のためにやって、どういうものにすべきと考えているか」をお伺いできますか?

ピョートル
このテーマをしっかり話すと2時間はかかりますが、そもそも教育という言葉が僕はあまり好きじゃありません。

英語でもeducationという言葉は、トップダウンの社会の仕組みとして、ある枠に人を当てはめて「あなたはこうならなきゃならない、もしこの枠に当てはまらないならあなたは失格だよ」という意味合いが強いです。

僕が考えているプロセスは学習(ラーニング)です。「いかに自己認識を高めていくか」「いかに自己認識を開示ができる人を育てるか」を大切にしたいんです。

簡単に言うと、試験がない世界ですよね。「誰が誰になる、誰が何ができる」といったパターン化をするより、「自由に自分にしかできないことをいかに発見しながら成長していくか」を考えられる世界をつくりたいです。

コーチングやファシリテーションの場から、つながりやリソースを与えて、いろんな違う人たちと掛け合わせて、その衝突の中で生まれるアイデアや気付きを勉強できる機会をつくっていきたいなと思います。

松岡
仁禮さんいかがですか?

仁禮
誤解を恐れずに言うと、「人が成長するプロセスをデザインしていくときに、みんなが念頭に置くことは、関わる人が幸せであってほしい」ということだと思っています。

人によって幸せの定義が異なってくるので、「自分にとっての幸せをどう育んでいくか」を考えたり、自分にとっての幸せのかたちを実現するのに必要なスキルや能力や体験が、教育というテーマの中には内包されている必要があると考えています。

松岡
教育とは何なのかをみんなが考えることが必要なのかもしれませんね。

本日はありがとうございました。

ピョートル
ありがとうございました。

仁禮
ありがとうございました。

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