20181101_cotree櫻本さんrev

「自分も周りも傷ついている」起業家こそメンタルケアが必要な2つの理由

本記事は、escort櫻本さん(@marisakura)のamiライブ配信の書き起こしです。

株式会社cotree CEO 櫻本 真理さん

amiファシリテーター町田(以下、町田)
cotreeの櫻本さんにお越しいただきました。

cotree櫻本さん(以下、櫻本)
よろしくお願いします。

町田
まず最初に、櫻本さんは幾つかのサービスをやっていると思うんですけども、その中で「escort(エスコート)」についてお話を伺いたいと思っております。

escortは、「誰の」「どんな」課題を解決するサービスなのか、伺ってもよろしいでしょうか?

櫻本
escortは10月3日にプレリリースという形で事前申し込みを受け付け始め、11月に本スタートする、起業家向けのメンタルサポートサービスです。

具体的に言うと、起業家のメンタルヘルスと事業成長を「人」という観点から支えるサービスです。

たとえばVCや各アクセラレーションプログラムの支援コミュニティはいろいろあるんですけど、「成長、成長」みたいなマッチョなものが多い。

目標設定して稼いでいこうという雰囲気のコミュニティが多い中で、起業家さんはメンタルの調子を崩してしまうケースも非常に多いんですね。

そこで、そうしたメンタル面で起業家さんを支えるようなサービス、コミュニティをつくっています。

町田
ちなみに、起業家のメンタルヘルスに注目されたきっかけはどういうところだったんですか?

櫻本
私自身の友人の中にも、メンタルの問題を抱えて事業を続けられなくなったケースというのは幾つかありました。そうしたケースって、みんなに知られないうちに起こってしまうんですよね。

「メンタルの問題抱えました」と外には言わないので、誰も知らないうちに「最近見かけないね」みたいになってしまう。

あとから聞くと、「実はメンタルの問題を抱えていた」というケースがあったりもして、「ああ、やっぱり人に相談しづらないんだな」、「プレッシャーが大きいんだな」と感じていました。

もう1つは、われわれのサービス(オンラインカウンセリングサービス「cotree」)を使ってくださっている方の中に、一定数経営者層がいらっしゃったことですね。

かなりの割合で、相談できる相手が周りにいないということが、データからも分かってきました。たしかに起業家は従業員にも相談できないし、VCからプレッシャーを受ける存在なので、なかなか身の回りに弱みを見せられない。

しかも、起業家って家族とうまくいっていないケースが非常に多いんです。

町田
そうなんですか。

櫻本
そうなんですよ。仕事に一途だったり、あとは割と拡散性の高い人が多いので、いろんなところに遊びにいっちゃう(笑)。

家庭がうまくいっていないので、なかなか家でも安心して過ごすことができない。そうしたときに、利害関係のない第三者に対する相談というニーズがやっぱりあるんだなというのが、個人的な体験からも、われわれのカウンセリングサービスのデータからも見えてきました。

その問題意識は抱えていたんですけれども、起業家の家入さんとお会いして、お話をさせていただいていたところ、やはり起業家のメンタルヘルスには一定の課題があるということもおっしゃっていました。

また、家入さんも投資先が80社近くある中で、メンタルの問題で事業を継続できなくなったケースは幾つかはあるとおっしゃっていました。

ご自身のご友人が亡くなられたというようなケースもあったりして、起業家の中では比較的よくある話だし、家入さん自身も起業家、投資家という立場である以上、それを守るための仕組みも必要なんじゃないだろうかと感じていただき、escortを始めさせていただいたという経緯です。

町田
オンラインのカウンセリングサービスをされていた経験と、櫻本さんご自身が起業家だったこと、そして実際に投資家や起業家から、メンタルヘルスの問題があるという話を聞いた。その3つが始めるきっかけになったと。

櫻本
そうですね。

町田
ひろたさんからコメントですが、「信じて話せる人がいると、安心感だけできっと絶対違うと思います」

起業家の方って、相談する相手はいそうなイメージがあるんですけど、そうではないんですか。

起業家はメンタルが強いと思われがち

櫻本
事業相談をできる相手はおそらくたくさんいると思うんですけど、プライベートなことから、自分の心の問題、チームメンバーのメンタルまでを含めて相談できる相手ってなかなかいないようですね。

起業家仲間であってもライバルみたいな意識もあるので、本音をしゃべれないケースも多かったりもする。何より責任が大きいので、そのプレッシャーはかなりあるのかなと思いますね。

町田
さっき「マッチョ」という言葉が出てきたんですけど、「起業家はメンタルが強い」とか、「何でも自分でできてしまう」みたいなイメージって、すごいあると思っています。そういう意味で、「起業家にはメンタルヘルスの課題がある」というのを、広めていくという意味合いもあるんですか?

櫻本
そうですね。すごくあります。

アメリカの研究で、起業家の49%が「メンタルの問題を抱えたことがある」というデータがあるんですね。その中にはうつ、不安、発達障害、依存症、双極性障害などが含まれます。最近はイーロン・マスクも双極性障害があると公表していましたが、もともと起業家というのは、ちょっと変わった人が多いですよね。

町田
そうですね。特徴のある人が多い。

櫻本
とがった人が多いですし、もともとメンタルの問題を抱えやすい素因を持っていらっしゃるケースが多い。それに加えて会社が大きい分人間関係が複雑であったりして、葛藤も抱えやすい。

起業家というのは、メンタルの問題を抱えやすい人たちなのに、それでも相談できないという社会の現実がある。

弱みを見せられないという現実があるので、そこをもっと世の中に知ってもらうことで、何か問題が起こったときに、「助けて」と言えるような環境づくりをしていく必要があるんじゃないかと思います。

とくにアメリカでは、当たり前のようにVCの方が起業家にメンタルの専門家をアサインするようなことも行われています。一方、日本ではそこへの意識がすごく希薄なんですよね。

メンタルの問題について、投資家が入り込むようなことはないし、投資家にお話を聞いていても、「いや、メンタルの問題なんかあまり見かけないよ」とおっしゃるんです。

それはあくまで「見かけない」だけであって、投資家には隠されている現実だったりする。「1人で悩んで、苦しんで、投資家の前では元気に振る舞う」といった感じですね。

そうした環境が事業を継続させることを難しくしているケースも一定あると思うので、まずは知ってもらうことが、すごく重要だなと思っています。

「そういうことが起こり得る」という理解が広がっていくと、支援を求めやすくもなるのかなと思うので、それはescortというサービスで実現したいですね。

町田
この中で気になるコメントはありますか?

気づかないうちに自分も周りも傷ついている

櫻本
面白いですね。「弱みを開示して、助けてくれる仲間を集める起業家と、弱みを見せずにマウントを取るタイプがいますよね」というコメントが来てますね。

つぶれてしまうケースは、やはり後者というか、弱みを見せずに強がって、最後まで自分が今困っているということを言えない起業家さんは多いです。

もう1つの側面は、起業家自身は大丈夫でも、周りが病んでいくというケースがけっこうあります。とげを自分に向けるのか、周囲に向けるのかで違ってくるんですよね。

自分で全部抱え込むのでなければ、周りの人がそれをカバーしてくれるんですけど、そのせいでチームの中でうつ病のメンバーが出てしまうお話をお聞きするんですよね。

そういう意味でも、多面性があるというか、起業家の特性によっても違いますし、誰がその牙を向けられるか、ケース・バイ・ケースではあるんです。

ただ、あまりにもそうした問題が無視されて来ているなというのは感じます。チームの中にうつ病の方がいるときでも、どうしていいか分からなかったりするじゃないですか。

そうしたときにも相談できるような場があるべきだと思ったので、escortは起業家自身のメンタルのことも相談できるし、「従業員がこういう状況なんです」という相談もお受けできるようになっています。

町田
さっきリサさんから、「櫻本さん、心の問題に向き合うきっかけは何だったんですか?」というコメントがありました。

櫻本
そうですね。私は以前、証券会社にいたことがあるんですけど、そのときに割と過労気味で、メンタルクリニックに行ったことあるんですよね。

メンタルクリニックに行くと、もう2、3分の診療で、「じゃ、3種類ほどお薬を出すので、また2週間後に来てください」というふうに言われて、「これで治るわけないな」と思ったんです。

少しは寝ることができると思ったんですけど、睡眠障害に至るまでの生活とか、生き方の不調みたいなものを薬で治せるわけがない。

メンタルを崩すタイミングって、やっぱり自分の生き方と向き合うタイミングだと思うんですよね。そうした生き方ときちんと向き合える場が必要じゃないかと思い、カウンセリングサービスを立ち上げた経緯があります。

町田
もう1つ質問で、「自分の心の問題に気付けない起業家もいるんじゃないか?」といのがあったんですけど、そういうケースもあるんですか?

櫻本
おっしゃるとおりですね。多いです。

とくにうつ病は、ちょっとずつ悪くなっていくし、「まさか自分がうつ病とは」と思うケースが多いんですよね。

気付いたときには遅く、病院に行く元気もないとか、「助けて」と言えなくなってしまうケースが多いので、だからこそ事前に、そうした問題が起こり得るという自覚する必要がありますね。

「自分で抱えこんでしまうことが問題である」ということを情報として知っておくと、「この症状ってもしかしたらうつかな?」と感じ取ることができると思うので、そうした知識も必要だと思いますね。

町田
「起業家イコール○○」みたいなイメージがあったとしても、起業家も同じ人間ですし、それぞれ特徴がありますよね。

もう一度配信していただけるので、次はサービスの中身についてお話しいただければと思います。cotreeの櫻本さんにお話しいただきました。今日はありがとうございました。

櫻本
ありがとうございました。


嬉しいグォー!これからも応援よろしくグォ!
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2019年11月15日amiはINITIALに生まれ変わりました。スタートアップの今と未来を徹底解説。資金調達をはじめとした定量面での分析情報、起業家や投資家への独自取材による充実のコンテンツをお届けします。https://initial.inc/
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