20181004_academist柴藤さん

ゼロからの研究がネイチャーに掲載されるまで。アカデミストがつくる新しい研究費の形

本記事は、アカデミスト柴藤さん(@RShibato)のamiライブ配信の書き起こしです。

アカデミスト株式会社 代表取締役 柴藤 亮介さん 

amiファシリテーター森(以下、森)
アカデミストの柴藤さんにお越しいただいています。よろしくお願いします。

柴藤さん(以下、柴藤)
よろしくお願いします。


簡単に自己紹介をお願いします。

柴藤
academist (アカデミスト)という、研究者の方々の魅力を発信するサービスを運営しています。


柴藤さんのストーリー動画を皆さんご覧いただけましたか?

柴藤さんのアカデミストというサービスは、「研究者の価値を最大化したい」という思いがあるそうですね。どうしてそこに至ったのでしょうか?

基礎研究に対する危機感

柴藤
もともと自分自身が大学で研究者をしていて、理論物理学を研究していました。

そのなかで、若手の研究者の方々がどんな研究をしているか周知されていないという現状があったんですね。

そこで、いろんな研究者の方々の魅力を社会に発信できるようなプラットフォームをつくっていきたいと思ったところが、サービスを始めたきっかけです。


ヒロタさんのコメントで、「ノーベル賞の発表が最近あった」ときています。

こういうふうに、大きく話題になることもあるけど、全体的に見るとそれはごく一部という感じなんですか?

柴藤
ノーベル賞を獲る研究というのは、特に基礎研究と呼ばれる分野に分類される研究が多くて、すぐに成果には結びつかないんですよね。10年20年後には大きな成果になるかもしれないという研究が多いんです。

ただ、非常に長いスパンでお金を投資するという流れが今少なくなっています


そうなんですか。

柴藤
「3年、5年後には何とか稼げるだろう」という研究にお金がいきやすいんですが、たとえば「本当に役立つの?」というような研究や、20年、50年後を見据えた研究はなかなかサポートされにくくなってきているという背景があります。


それはどうしてでしょうか?

柴藤
国の限られた予算をどう分配するかという話になるんですが、どうしても人口の逆三角形の構造でも分かるように、研究にお金がつきにくくなっているという、国家的背景があるのかなと思ってます。


なるほど。

うんちゃんさんから、「若手の研究者というのは会社勤めの人ですか?」っていうコメントがきています。

柴藤
会社勤めの場合は、企業さんのお金を使って研究されていると思うんですけども、今の話はどっちかというと大学にいらっしゃる研究者の話です。


いわゆるアカデミック分野の方ですね。

柴藤
そうですね。


だから「academist」という名前になったんですか?

柴藤
実はそうですね。(笑)


ほかの意味はあるんですか。

柴藤
たとえば、物理学者であればフィジシストとか、化学の化学者だったらケミストとかいうふうに言うんですよね。そのもう1個上のレイヤーといいますか、すべての研究者をひっくるめた言い方で「academist」という言葉がこのサービスを表すのには一番いいんじゃないかなと思ってつけました。


なるほど!アカデミックな研究者にもっとスポットが当たるように、ということなんですね。

まっちーさんが、コメントで「応用研究と基礎研究のバランスが大事」というふうに言ってますけれども、基礎研究の部分が今は欠けているんでしょうか?

柴藤
そうですね。そういった危機感は研究者の方々は結構持たれているんですよね。特に若手の方は自分の分野にちゃんと研究費を回してほしいという思いがあるので、そういった方々が、クラウドファンディング等を利用して、研究の宣伝をしながらお金を集めるという流れをつくっていけたらと思っているところです。


ヒロタさんが、「すぐに今は結果を求められる時代になっちゃってるってことですか」とコメントされています。

柴藤
まさにそういう流れがあるのかなと思いますね。


それはもったいないですね。

柴藤
基礎研究が将来どうなるかっていうことは分からないので、なかなかお金がつきにくいという問題も、理解はできるんですよね。

それでも完全なリスクマネーとして、「有望な研究者の方々でもう使ってください、失敗してもいいからやってください」という流れをつくっていかないと、今後ノーベル賞などは出にくくなるのかなと思います。


そこはすごくスタートアップと似てますね。(笑)まさにスタートアップ業界も同じような金の流れになっているので、それはもうかなり共感します。

柴藤
そうですね。そこがすごく近いと思っています。


ここでご質問がきています。「研究者の研究が知れる場ってないから、もっと知りたい」っていうコメントがあるんですが、academistもそういうプラットフォームなんですか?

柴藤
まさにそういうプラットフォームにしたいと思っています。成果が出てから初めて論文として発表されるんですけれども、成果が出るまでに2~3年かかったりするんですよね。

もっと研究途中のプロセスをこまめに発信しながら、人々の関心を集めつつ進めていくっていうスタイルができてくると、よりいろんな方が研究のことを知るきっかけが増えるのかなと思っています。


たしかに。うんちゃんさんのご質問で、「若手の研究者にお金に集まらない問題って日本だけに限った問題なんですか?」

柴藤
全世界的にお金が集まらないという話になっているんですよ。

もともと国がお金をつけるという流れは、「これから国家として研究を伸ばそう」という背景があって国が全面的にサポートしていたんですけども、最近、どこの先進国もお金がなくなってきている中で、そういった基礎研究を支援する余裕がなくなっているっていうところが多いですよね。


そうすると、日本だけに限らず、どこでもそういう傾向が起きつつあると。

柴藤
そうですね。

アメリカとかでもトランプさんが結構予算をバシッと切ってしまったこともあり、サイエンティストの方々がこれじゃまずいので、政治家を送り込もうといった動きも最近出てきたりしています。


たしかにありましたね。

ミタライチハルさんから、「企業側はこういう研究ないのかなっていうふうに思って能動的に探して、研究者の方にたどり着くこともあるんだけれども、逆にアカデミックのほうの発信が今はちょっと足りないので、そういった発信が大事じゃないか」とコメントがきています。

柴藤
はい。確かにそれはおっしゃる通りです。

実際、academistで研究をチェックされた方から直接ご連絡いただいて、この方と共同研究してみたいので1回お会いしたいといったようなアポイントもあったりするので、そういった企業さんが新しい研究シーズを探したいっていうニーズはうまく我々のほうでもマッチングできるかなと思ってます。


academistって今、サイトのほうでいろんな研究者側がこういったものをやりたいといった、色んなプロジェクトがあるんですけども。

(クラウドファンディングサイト「acamidest」のトップページ)

これまでに、柴藤さんが気になったプロジェクトはありますか。academistをやったからこそ出てきたようなもので。

academistからネイチャーへ

柴藤
雷のメカニズムを明らかにするための研究があります。雷のメカニズムって厳密にはまだ明らかになってないんです。


へえ! そうなんですか?

柴藤
それを明らかにしたいという研究があったんですが、最初、それが国のお金通らなかったんですよね。


どうしてでしょうか?

柴藤
なかなか先行研究が少なかったからだと思います。おそらくですけども、審査員の方も、アイデアはすごい面白いけど本当にできるのかなと感じて、お金が取れなかったんじゃないかと。

そこで、クラウドファンディングを使って、まずはできるという証拠をデータで示すべく研究者の方々がお金を集めて、そのお金を使って得られた成果をもとに再び応募したところ、何と通ったんですよね。


すごい!

柴藤
本当にスタートアップ的な0から1をacademistで集めていただいて、そこから国のお金をオーダー、違うお金がまた入って使っていって、そのあとで論文を書くっていう流れがあったんですが。実は、論文がネイチャーというトップと言われている雑誌に昨年末に掲載されて。


マジで! すごい!

(コメントでも「すごい!」の声が多数)

柴藤
はい。非常に素晴らしい流れを、まさにその方々がつくっていただきました。

そういった影響もあってほかの方々も、「だったら自分もクラウドファンディングやりたいな」という流れは出てきております。


それはもっと言ったほうがいいですね!

柴藤
はい。われわれもかなりアピールたくさんさせてもらってるんです。

柴藤
大学とかに行く度に、「ネイチャーが」という話させてもらっています。


そもそも雷のメカニズムが解明されてないことも、そういう研究が通りにくいのも意外でした。さらにはネイチャーに載っちゃったと。

academistすごいですね。こんなアカデミックのこの壁をどんどん破ろうとしている柴藤さんに向けてご質問です。

ミタライチハルさんのコメントで、「企業に期待すること」ときていますね。

柴藤
今は企業さんって研究シーズを探されてるとこがたくさんあるのかなと思うんですが、そういった担当者の方々にぜひacademistと、academistジャーナルっていうメディアもしているので見ていただき、何か一緒に研究者と仕事したいなという機会があればご連絡いただけるとうれしいです。

("academist Journal":アカデミスト運営の研究発掘メディア)


なるほど。皆さんがacademistにいって登録をする。

柴藤
そうですね。ぜひお願いします。


ヒロちゃんからコメントで、「くじけそうになったことは?」

柴藤
今、振り返るとあの時がそうだったなっていう時はあるんですけど、普段生活を送っているとそういったことはほぼなく、まず目の前にある課題をもう、淡々と超えていくというようにやってます。それでも今振り返ると、あのときよく頑張ったなっていうシーンは思い浮かんだりはしますかね。


柴藤さんは基本ポジティブですもんね。

柴藤
そうですね。あまりネガティブなことは気にしない。

よくないことでもあるんですけども、できる限り物事をよく解釈するような性格なので、そこは今のところ、うまく働いているかなと思います。


なるほど。最後、どの質問答えたいかな・・・?

柴藤
うんちゃんさんから、「今後どんなことをしたいですか」

柴藤
まだ、academistを使っていただいている研究者の方って100人弱なんです。研究者全体だと、100万人弱いらっしゃるんですね。


そんなにいるんですね。

柴藤
まずはもっといろんな分野で、「この研究面白いんだ」とアピールしたい方々に使っていただくことをやっていきたいと思います。


今日は研究者の活用を最大化したいというアカデミストの柴藤さんに来ていただきました。

academistの名前の由来とか、なんでacademistをつくろうと思ったのか、そしてacademistからネイチャーに載るような素晴らしい研究が生まれたといった話を中心にお伺いしました。

柴藤さんにはきてもらいますので、そのときにまたドシドシご質問していただければと思います。今日はありがとうございました!

【ファシリテーター森からのコメント】
アカデミスト柴藤さんは誠実、前向き、情熱。このキーワードが似合う方だと思います。研究者の立場から、日本の研究全体を前進させるために実際に行動し、なによりacademistに集まる個々の研究を愛されているんだなと感じます。アカデミックの世界は最先端を追いつつも、体制自体は非常にレガシーな側面もあり、必ずしも良質な研究にスポットがあたらないことも。そんな世界を前進させようと挑戦する柴藤さんのサポーターになりましょう!

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