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正解ではなく「経験」に価値が宿る。料理を通して、子どもの創造力を豊かに

本記事は、ハクシノレシピ高橋さん(@hakurepi_mixon )のamiライブ配信の書き起こしです。

ライブアーカイブ

起業家紹介

株式会社Hacksii 代表取締役 髙橋未来さん

博士が白紙で作るレシピ

amiファシリテーター 町田(以下、町田)
本日はハクシノレシピの高橋さんにお越しいただきました。よろしくお願いします。

まずどのようなサービスをされているか、ご説明いただいてもよろしいでしょうか?

ハクシノレシピ 髙橋さん(以下、髙橋)
よろしくお願いします。

ハクシノレシピは、一言で言うと「子ども向けの出張料理教室」です。ただ、普通の料理教室と違うのは、アクティブラーニングの学習方法で料理を学ぶことです。

子どもが主体的に料理を行うことで、考える力や表現する力、判断する力を身に付けることができます。

町田
アクティブラーニングとは具体的にどのようなイメージですか?

髙橋
アクティブラーニングとは、学習者である生徒さんが主体的に行動して学ぶスタイルのことを指しています。

学校ですと、先生が生徒に教えるといった一方通行の学習スタイルが多いですが、そうではなく生徒がメインになって学習をしていくスタイルがアクティブラーニングです。

まだアクティブラーニングというワード自体をご存知でない方も多いと思いますが、2020年に行われる教育改革で学校教育にも取り入れられると言われています。

町田
そのアクティブラーニングを取り入れて、子どもが先生に家で料理を教えていただけるサービスということですね。

高橋
それだけですと、他の料理教室との違いがあまり分からない方も多いと思いますが、ハクシノレシピには他にはない大きな特徴があります。

サービス名であるハクシノレシピの「ハクシ」には真っ白な紙(白紙)と博士という2つの意味が込められています。

私たちのサービスの大きな特徴は「レシピを使わない(白紙の)」料理教室という点です。白紙の紙に、子どもたちが博士のようにアイディアを書いて、自分たちでレシピをつくっていくという意味を込めてハクシノレシピというサービス名にしました。

一般的な料理教室ですと、「今日はこれをつくろう」といって材料が用意してあり、筋書き通りにつくっていくのが一般的かと思います。

しかし私たちの場合は、メニューは全く決まっておらず、冷蔵庫を開けて、どんな食材があるかを子どもに確認してもらってから、「冷蔵庫の中のものを使って、どんなものができるかを子どもに考えてもらう」スタイルを取っています。

「選ばれなかった」が私に与えた影響

町田
そもそも、なぜレシピがないかたちで行おうと思ったのですか?

髙橋
私がレシピ通りの料理が大嫌いだったからです。大嫌いというか、できないというのが正直なところです。(笑)

料理を始めたときレシピがあることで、「この通りに作らないと美味しくできないんじゃないか」と不安になってしまい、料理はあまり好きではありませんでした。

しかしある日、たまたまレシピを使わずに料理をしてみると、「なんだ意外とできるじゃん」と感じました。それ以来、レシピを使わなくても料理はできると思うようになったのがきっかけです。

町田
レシピを使わないことに着目された理由として、高橋さんは「創造性を育む」という教育、もしくは「正解、不正解を気にしなくてもいい」という価値観の醸成のどちらに重きを置いているのですか?

髙橋
自由な発想をするために、正解、不正解という価値観を排除する必要がありますし、「チャレンジしてみよう」と自信を持つ必要があると思うので、どちらか一方というよりは、どちらも興味があります。

町田
そこに興味をもったきっかけはなんですか?

髙橋
自分が子どものときの経験が大きく影響していると思います。

わたしが幼稚園のときにお遊戯会でお姫さま役か、孫悟空の役かの配役を決める機会があり、その時「お姫さまをやりたかったけど、先生のお気に入りの女の子がお姫さまになり自分はなれなかった」という経験をしました。

それがすごく悔しかったんですね。

今思えば些細なことですが、小さい頃の私にとっては「自分は選ばれなかった」とネガティブで悲しい気持ちになってしまい、大人になってからも自分に自信を持てない要因の1つになっていると感じることがありました。

その経験から、子どものころの体験はその後の人格形成に関わってくると身を持って感じたので、子どものうちに、たくさんのポジティブな経験をしてほしいと思っています。

子どもたちが自分に自信を持てるように、自由な発想ができるように、失敗をしてもいいからチャレンジしてみよう、という環境を整えてあげるのが私たち大人の役目だと思っています。

褒めることに本質的な意味はない

町田
実際にハクシノレシピを体験したこどもで、サービスを通して自信をもてたエピソードはありますか?

髙橋
こどもの自由な発想で料理をしてもらうので、保護者の方が思いもつかなかったような料理が生み出されることが多々あります。本当にみんなすごいんですよ!

先日、納豆を野菜炒めに入れるという大人ではなかなか考えつかないアイディアを思いついたお子さんがいました。

野菜炒めに納豆とだけ聞くと、「えっ?」と思うじゃないですか?(笑)
保護者の方も、同じように最初は驚かれていましたが、こどもがつくったものを試食してみるとすごく美味しかったようで、「ママだったらこんな料理思いつかなかったよ」とお子さまを褒めてあげたらしいです。

そうしたら、子どもはうれしくなって、それ以降も積極的にお手伝いをしたり、自信を持っていろいろなことにチャレンジしたりするようになったと言っていただけました。

普通のレシピを使った料理だと思いつかない「納豆×野菜炒め」を自分で新たに生み出し、その結果家族にも褒めてもらえて自分に自信を持てるようになったのは、ハクシノレシピならではの体験だと思います。

町田
とはいっても、ただ褒めればいいということではありませんよね?高橋さんが考える理想の褒めるとはどのような形でしょうか?

髙橋
褒めるというより、1人の人間としてこどもを尊重してあげることが何よりも大事だと思っています。

たとえば、危ない包丁の使い方をしたときに、包丁を使えて偉いねと褒めるのは、人として見下していることになると思います。

だめなことはだめだと注意することが、人として尊重することですし、その子の成長に繋がります。

また注意をすることで、「なんでそれがだめなのか?どうして自分は注意されたのか?」を子どもが考えるきっかけを作ることができます。

いかなる時も、子どもに考えさせることが重要であると、私は考えています。

「サービスの最初から最後まで全てワクワクします。」

町田
ここまで話を聞いていて、本当に楽しそうにサービスの話をされていますが、高橋さんがサービスに対してワクワクするポイントはどこでしょうか?

子どもが尊重されている状況を感じることですか?それとも、自由な発想をしている環境を作ることですか?

髙橋
サービスの最初から最後まで全てワクワクします。

子どもが「エプロン先生が今日は来る」とワクワクしてくれていると、「この子はどんなお料理つくるのかな?」と自分でも想像してワクワクします。

また実際のサービスでは私は現場に行かないので、エプロン先生や、保護者の方の報告をもとに、当日のサービスがどうだったかを振り返りますが、報告に書かれている子どもの自由な発想をみる瞬間もワクワクします。

その上で、保護者の方に「自分の知らないこどもの一面が見れた」と言ってもらえるとさらにワクワクするんですよね。

なので、サービスのどの部分にワクワクするというより、全部にワクワクしています。(笑)

町田
ということは、いまワクワクするとおっしゃっていた一連のプロセスが再現できれば、提供するサービスの形は料理でなくともいいということですか?

髙橋
そうですね。コンテンツとして料理が一番適していると思ったので、ハクシノレシピでは料理を用いていますが、お子さまの創造性や考える力、自信を持たせるといったことができれば、コンテンツはなんでもいいと思います。

キッチン学の「秘密」

町田
ではなぜ料理をそもそも選ばれたのですか?

髙橋
「料理は頭をフルに使う」という仮説を私が持っていたからです。

新卒で初めて一人暮らしを始めたときに、最初はお米の炊き方も分からないといった調子でした。(笑)そこで、コンビニのお弁当ばかり食べていたところ、1カ月で5kg太ってしまい、「さすがに自炊頑張ろう」と意を決して自炊を始めました。

そうしていくうちに、限られたスペースで、限られた食材を使ってどんなものを作れるかを料理では考えるので、とても頭を使うなと実感しました。(笑)

その経験から、「料理は考える力や脳を活動させるのに効果的なんじゃないか」という仮説を持っていました。

脳と思考力などの関係性は、右脳教育の幼児教室で勤務していた経験から知見があったので、サービスを始めるときには、迷わず料理をコンセプトにしました。

町田
実際にやってみて、そのときの仮説は合っていましたか?

髙橋
サービスを提供して、たくさんの子ども達を見てきて、明らかな変化はあるものの、それをデータとして実証できなかったので、私がいくら「料理はいいよ」と言っても、説得力がありませんでした。

そこで先日、どうしてもそれを客観的に証明したく、料理中の脳の活動を観察する実験を行いました。結果はなんと、「私たちがやっているキッチン学は、子どもの考える力を司る前頭前野の活動を活発化する」というデータを得ることができました!

町田
おめでとうございます!(拍手)

いままで定性的だったものが、実験を行ったことで定量的な根拠も踏まえた上で言えるようになったということですか?

髙橋
そうなんです!

満を持してキッチン学を提唱します!

町田
ハクシノレシピに年齢制限はあるのですか?

髙橋
対象年齢は3歳から12歳となっております。

子どもの脳の発達に大きく関わってくるという点にフォーカスして、現状は小学生までというくくりでやっています。

町田
料理教室ということですが、なかなか料理に積極的になれない子どもにはどのようなアプローチされているのですか?

髙橋
まず、子どもが最初から料理に集中できることはなかなかありません。

それこそ、1回目の料理教室では1時間も集中力が持たず、キッチンから脱走しておもちゃで遊んでしまうことはよくあります。

しかし、繰り返し取り組むにつれて、集中できる時間が増えていき、3回目ぐらいで大きな変化がみられます。

というのも、一連の流れを3回繰り返すことで、「どういったことをやるのか」が自分の中にインプットされ、「この場面ではこうする」という思考プロセスが身につき、その成功体験から自分自身にも自信がつきます。

そうするとさらにできることが増え、料理も含めチャレンジが楽しくなるというプロセスになっているのだと思います。

私たちのサービスは、料理のプロになってもらうためのサービスではないので、料理を好きになることがゴールではなく、子どもが自信や創造性を持つためのプロセスを作ることに重きを置いています。

町田
「お母さん向けにレクチャーのサービスも欲しいです」というようなコメントも来ています。

髙橋
実はそちらも現在検討しております!

子ども向けのサービスの知見がある程度貯まってきたら、それを体系化し保護者の方向けのキッチン学講座も開始させていただこうと考えております!

なので、ご期待くださいませ!(笑)

町田
楽しみにしています!

それでは、本日はありがとうございました。

髙橋
ありがとうございました。

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2019年11月15日amiはINITIALに生まれ変わりました。スタートアップの今と未来を徹底解説。資金調達をはじめとした定量面での分析情報、起業家や投資家への独自取材による充実のコンテンツをお届けします。https://initial.inc/

コメント3件

今までにない食育で素晴らしいと思います!子供が生まれたら利用したいです。
日本で遅れていると言われている、食育の新たな一手になりそうです!
自分でゴールを決めてチャレンジをして成功体験を得る。この一連の流れを幼少期から体験していくことはとても大切だと感じます。

実際に食べる人の事を想って料理を作り、食べた人に驚いてもい、喜んでもらうという『誰かのために』何かをする体験って学生時代そう多くはなかったし。

将来的に、与えられた課題をコツコツとこなすだけでなく、自分の可能性を自分で広げられる、相手のことを想える大人になるための第一歩として素晴らしいサービスだと思います!
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